名前と職業、顔写真から偉業を“捏造”(生成)してくれる「あなたの偉人化メーカー」。映画『ベートーヴェン捏造』のキャンペーンである本企画は、オリエン段階からAIを駆使することで迅速に実現することができた。その制作プロセスとは。
強みはAIプロトタイピング
9月12日公開の映画『ベートーヴェン捏造』(脚本:バカリズム、監督:関和亮)のプロモーションとして生まれた「あなたの偉人化メーカー」。
名前と職業を入力し、「後世に伝えたいイメージ」を選ぶ。そして自身の顔写真をアップロードすると、偉人風にアレンジされた肖像画とともに、入力した職業になぞらえた「偉業」がAIによって“捏造”される。「ベートーヴェンのイメージは、秘書のシンドラーによって捏造された」という、映画の題材となった史実から着想を得た企画だ。
「あなたの偉人化メーカー」キービジュアル。
制作を手がけたのは、カヤック出身者らが立ち上げたnoplan。同社の強みは、AIを活用した高速プロトタイピングにある。CEOでAIエンジニアの芹川葵さんは、企画のアイデアが固まると、翌日にはAIモックを作成し検証を始めるという。「職業を入力すると偉業が生成される」という機能も、すぐに形にして検証を重ねた。「技術ドリブンなスピード感が最大の強みです」と芹川さん。
AIは生成+検証の二段構え
「偉人化メーカー」の内部ではAIが二段階で活用されている。入力に応じてコピーや画像を生成するAIと、生成結果を検証するAIだ。
偉業の生成を行うAIには、Gemini 2.5 Proを採用。「100回実行したら100回違う答えが返ってくる」ような、突飛で創造性豊かなアイデアが出やすいようチューニングしたという。

