発売から数十年を経てもなお、生活者の身近な存在であり続ける「ガリガリ君」と「ポテトチップス」。社会環境や価値観の変化を捉え、商品・コミュニケーションの両面から進化を重ねてきた背景には、顧客との向き合い方に一貫した哲学がありました。2社のブランド担当者に、ロングセラーを次の世代へとつなげるための戦略と実践を語ってもらいます。
※本記事は、9月19日に宣伝会議セミナールームで開催した「ブランドマネージャー・カンファレンス」のレポートです。
中長期的な視点で信念を持って取り組む
━━カルビー「ポテトチップス」は、2025年に50周年を迎えて、今まさにさまざまな施策を展開されています。そして赤城乳業の「ガリガリ君」は2026年に45周年。社会環境や気候の変化など大きな転換点もあったかと思いますが、両ブランドのこれまでの変遷をお聞かせください。
岡本
:「ガリガリ君」は2016年、25年ぶりとなる値上げをした際に「値上げ広告」を展開したところ、大きなニュースになりました。
値下げのプロモーションはあれど、値上げを告知するCMをやる企業は、ほとんどありませんでしたが、お客さまには誠心誠意、なぜ値上げをするのかをお伝えした上で価格改定に踏み切りたいと思ったためです。社長含め、社員が出演するテレビCMと広告を、2016年4月1日・2日の2日間限定で展開しました。
またコロナ禍では、「あたり棒の交換は衛生的にどうなのか?」という議論が社内で生まれました。結果的にお客さまの温かい応援のお声もあり、継続することになりました。
赤城乳業は「当たりつきやめるのをやめました」というメッセージの新聞広告を出稿(2023年4月25日・日経新聞)。60秒CMを自社サイト、およびYouTube公式チャンネルで公開した。
社会の変化への対応という観点では、「氷の粒度」もお客さまの声を聞いて変えていきました。「最近の子どもは噛む力が弱くなっている」と、2002年ごろから氷を細かくしていたのですが、改めて2022年ごろに消費者調査を行ったところ、「氷が大きいほうが食後の口中がさっぱりして好きだ」という結果が出たんです。
それを受けて再リニューアルを2023年に行いました。つくり手側の思い込みではなく、やはりリサーチが大事なのだと感じた事例です。
