AI時代に没個性にならないために
博報堂は11月25日、企業や商品、サービスのブランドに“人格”を宿し、対話を通じてブランドの想いを生活者に伝える新ソリューション「Branded AI Agent」を開発した。生成AIが一般化する時代において、ブランドと生活者の関係性をあらためて設計し直す試みとして、企業のマーケティング活動に新しい選択肢を提示する。
SNSやアプリ、チャット、IoTなど接点が増え続けるなか、生活者とブランドの間には無数の対話が同時多発的に生まれている。しかし、チャットボットとSNS、メルマガなど各接点で“人格”がばらつき、ブランドの一貫性が維持しにくい状況が続く。静的なブランドガイドラインだけでは接点の拡大に耐えられない。ブランドを“生きた人格”としてAIに実装して対応するために同サービスが開発された。
Branded AI Agentは、ブランドの価値観や語り口をAIに組み込み、すべての接点で統一された対話を生み出す点が特徴だ。健康食品業界であれば“健康オタクAI”が生活者のモチベーションを支え、テック業界では“発明好きAI”が子どもの自由研究を手伝う。人材業界では“自己啓発好きAI”が転職・キャリア相談に寄り添うなど、ブランドが生活者の日常へ自然に入り込む利用イメージを描く。
博報堂CXクリエイティブ局 エクスペリエンスディレクター 中島優人氏によれば提供領域は、(1)ブランド人格を再定義する「ブランド規定」、(2)人格を会話に落とし込む「プロンプトエンジニアリング」、(3)体験導線まで設計する「体験デザイン」の三つ。クライアントによってはプロンプト提供のみから、UI/UX設計やシステム実装、運用改善まで幅広く対応する。ビジネスモデルはブランディング料と制作料を基軸とし、取得した対話からの分析・サービス反映など運用も想定する。
将来は、AIエージェントが自律的に行動し、他企業や自治体のAIと連携して新たな価値を生み出す世界も見据える。中島氏は「もしブランドが生きていたらどう振る舞うか。それをAIが体現し、成長し続けることがこれからのブランディングになる」と強調。またさまざまなAIエージェントが集うプラットフォームのような世界観を想定する。生活者の心に残る“ブランドらしい対話”が無数に生まれ、AIがあらゆる接点でつながる未来を描いている。
Branded AI Agentの開発に先立ち、博報堂は自社カルチャー「粒ぞろいより、粒違い」を落とし込んだAIエージェント群「tsubuchigAI(つぶちがい)」のプロトタイプも公開。「テツガク」「ハツメイ」「ヨキカナ」「カンサツ」など個性を持つ複数のエージェントが、対話を通じて新たな発想を導く仕組みを試作した。このようにさまざまな企業・ブランドの個性を持ったAIエージェントが対話していく


