電通のスポーツ未来研究所は、9月に開催された「東京2025世界陸上」に関する観戦実態とメディア接触の調査結果を公表した。全国3000人に行った調査では、6割以上が大会を観戦し、日本開催に「良かった」と回答した人が65.2%にのぼった。テレビ中心の視聴傾向が続く一方、若年層ではSNS経由の情報接触が目立つ結果となった。
日本開催に高い肯定感、若年層とシニア層が牽引
調査によると、「日本で開催されて良かった」と回答した人は65.2%で、否定的な回答は4.9%にとどまった。特に18〜29歳の若年層と60〜69歳女性で肯定的な割合が高く、幅広い層が大会を好意的に受け止めた。18年ぶりの日本開催となった今回は、世界トップ選手が集う大会としての注目度が高く、生活者の満足度も高い水準となった。
「あなたは「東京2025世界陸上」が日本で開催されて良かったと感じますか」に対する回答、N=2274(東京2025世界陸上 認知者)
観戦経験は61%、テレビが主要メディアに
観戦経験は61.3%。性別・年代を問わず観戦が広がり、18〜29歳および60〜69歳男性で特に高い傾向が見られた。
情報接触メディアでは「テレビ中継・告知」が71.9%と最多。続いて「スポーツニュース番組」(50.8%)、「新聞記事」(14.4%)、「Webニュース」(12.6%)が続いた。一方、若年層では「SNS投稿・広告」を通じて情報を得た人の割合が比較的高く、接触メディアの多様化が進んでいることがうかがえる。
「あなたが「東京2025世界陸上」に関して、情報に触れたものをすべてお知らせください(複数回答)」に対する回答、N=2274(東京2025世界陸上 認知者)
観戦が行動変容にも寄与
観戦後の意識・行動の変化では、「感動し勇気をもらった」が24.0%、「スポーツ全般への関心が高まった」が21.2%となった。「健康維持を意識するようになった」「トレーニングを始めたい/増やしたい」といった項目も一定割合を占め、大規模スポーツイベントが生活者の行動変容に影響していることが示された。
スポーツを起点にした興味喚起と市場拡張の可能性
電通は今回の世界陸上のマーケティングパートナーを務めた。調査について同社は、世界陸上が「観戦満足」だけでなく、「スポーツへの関心喚起」や「健康行動の促進」に寄与した点を指摘。若年層におけるSNS接触の高さや、年代横断的に観戦意向が広がったことは、今後のスポーツマーケティングや大会運営における重要な示唆になるとしている。
参考記事


