靴下の製造・販売を手がけるタビオは、メンズ靴下ブランド「Tabio MEN(タビオメン)」のプロモーションの一環で、都心オフィス喫煙所サイネージ「BREAK(ブレイク)」で広告配信とプレゼントキャンペーンを実施した。タビオの清水亮氏と、「BREAK」を運営するコソドの湯川健太氏に、今回の取り組みの経緯と内容、その手応えについて聞いた。
メンズへの注力方針を掲げるも施策に課題
売上の8割超を女性向け商品が占めるタビオが、男性向けの事業拡大へ本腰を入れたのは5年ほど前から。それまでは、「女性向けと同様、『日本製で高品質な靴下』という商品へのプライドは持ちつつも、『誰に、どう届けるか』についての戦略は不十分でした」と清水氏は振り返る。店舗に置けば売れる、との考え方が根強く残っていたという。
3年前から俳優の窪塚洋介を「Tabio MEN」のアンバサダーに起用し、ブランドイメージの向上を図っている。販売チャネルは、全国の直営店、靴小売店、そしてECサイトが中心だ。
タビオ マルチメディア企画部 部長 清水亮 氏
「レディースが『不易流行』という企業理念のもと、定番とトレンドの両方を大切にするのに対し、メンズはリブソックスや機能性ソックスといった定番商品が中心で、ファッション性の高いトレンド商品の展開は限定的です。これまで、InstagramなどのSNSは活用してきましたが、広告に大規模な予算を投じることはありませんでした。このたび窪塚さんを起用するにあたり、より戦略的に、ある程度の広告費をかけてプロモーションを行う方針へと転換することにしたのです」(清水氏)
都心部の30代~50代男性にリーチする「BREAK」
喫煙所サイネージ「BREAK」の活用に至った経緯について、清水氏は、「ブランドのターゲットや課題感を整理する中で、BREAKの特性が自分たちの求める接点と一致したことが大きかった」と振り返る。
「あるイベントでお会いした湯川さんから『BREAK』について伺い、面白いと感じました。当時は広告にあまりお金をかけていませんでしたが、タレントを起用していることもあって『結果を出さないと』という危機感がありました。そんな中で、良いメディアはないかと探していた際に、『BREAK』が目に留まったのです」
湯川氏も、タビオ側の課題認識と「BREAK」の特性が合致した点を強調する。
「タビオ様からは、窪塚さんの起用を最大限に活かしたいものの、ターゲット層である30代後半から40代へのリーチに課題があるとお伺いしました。当社のデータでは、喫煙所を利用する40代以上の男性に広告への反応が良い傾向が見られました。そこで、喫煙所サイネージをお勧めしたのです」
コソド 取締役CMO 湯川健太 氏
清水氏も、この点について補足する。
「当社のECサイトの顧客データを見ると、メンズの購入層は50代から70代が中心となっています。窪塚さんのターゲット層として想定している30代後半から40代の層へのアプローチが、これまでの施策では十分ではなかったのです。そこで、この層にリーチできる媒体を探していました」
湯川氏は、このターゲット層へのリーチという課題に対し、「BREAK」が持つ「動画に触れる機会が減っている30代後半から50代へのリーチ」という特性が合致すると感じたという。
「特に、喫煙所での滞在時間は長く、リラックスした状態で広告に触れるため、記憶に残りやすいというメリットがあります。データ上でも、30代後半から50代の男性は、こだわりを持つ傾向があることが分かっています。こうした層に、タビオ様の『こだわりの靴下』を訴求できると考えました」
加えて、都市の喫煙所利用者は身だしなみ・ブランド感度が高い層が多いことが、コソド社の調査データでも明らかになっており、靴下のような“日常の質に関わるアイテム”との相性が良い点も、BREAKを選定した理由のひとつとなった。
喫煙所利用者は、身だしなみ・ブランド意識が非喫煙者の約1.6倍と高い
スクラッチキャンペーでリアルな反応を得る
今回の施策では、「BREAK」のサイネージでのCM放映に加え、東京・丸の内など主要な喫煙所5カ所で、体験型のキャンペーンを実施した。具体的には、喫煙所での動画展開と、その場で削って景品が当たるスクラッチキャンペーンだ。
「『BREAK』は、喫煙1回あたりの滞在時間が約6分間に及ぶため、CMを繰り返し視聴してもらうことで、商品の特徴への理解を深めてもらうことを狙いました。また、スクラッチキャンペーンでは、参加条件としてTabio MENの公式Instagramアカウントのフォローを設けることで、フォロワー獲得と継続的な関係構築を目指しました」と湯川氏は説明する。
喫煙所の6分間を活かした体験施策として、スクラッチキャンペーンを実施した
清水氏は、実施後の手応えについて、当初の想定を超えていた点があったという。
「予想外に女性からの反応が良かったことは発見でした。窪塚さんのファンである女性も多く、男性だけでなく女性にも訴求できる可能性があると感じました」
さらに、今回の取り組みの最大の収穫は、リアルな場で生活者の反応を直接確認できたことだと強調する。
「何よりも、デジタル広告だけでは得られない、『お客様が何に興味を示し、どのような反応をするのか』という貴重な知見を得ることができました。この経験を活かし、クリエイティブを改善して、再度チャレンジしたいという気持ちが強く芽生えました」
月間520万リーチ、OOHを“体験”へ進化させるBREAK
「BREAK」は、都心オフィスに特化したデジタルサイネージネットワークであり、現在500カ所以上に設置され、月間520万人規模のリーチを誇る。湯川氏は、「BREAK」の最大の特徴を「接触の質」にあると述べる。
コソド直営の喫煙所「THE TOBACCO」(東京・丸の内)
「オフィスワーカーは、休憩というリラックスした状態で広告に接するため、記憶に残りやすく、行動変容にもつながりやすいと考えています。特に、喫煙所では“立ち止まって6分間”広告に触れるという他のOOHにはない接触態度が生まれます。この“濃さ”がBREAKならではの価値になっています。
広告主層は多岐にわたりますが、特に40代、50代の男性をボリュームゾーンとする媒体は、デジタル広告では見つけにくいという課題がありました。私たちは、この層に効果的にリーチできる媒体として、多くのクライアントからご支持いただいています」
また、タビオの清水氏も「コソドが提示された『喫煙室を利用する方に決定権を持つ人が多い』というデータは、高価格帯の靴下を販売する我々にとって非常に魅力的でした」と振り返る。
Tabio MENとしては、ECにおけるブランディングを強化し、メンズ市場をさらに開拓していく方針だ。清水氏は、「単に安価な商品を展開するのではなく、1足1500円~2000円といった価格帯の靴下を『普通に買ってもらえる』ような、靴下文化の醸成を目指します。そのためにも、今後、様々な企業との協業を通じて、プロモーションとPRを強化していきたいです」と意欲を語る。
コソドとしても、喫煙所の体験価値をさらに高めるための取り組みを進めている。湯川氏は、「BREAKは、喫煙所という“6分間の滞在”を、ブランド体験として設計できる点が特徴です。サイネージによる視聴だけでなく、今回のようなリアルな参加アクションを組み合わせることで、広告の体験価値を広げていきたいと考えています」と展望を述べた。
お問い合わせ

株式会社コソド
Mail:break@cosodo.co.jp
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