ワーナー・ブラザースは誰の手に? ネットフリックス VS パラマウント、ハリウッドIPをめぐる争奪戦

ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)をめぐって、米ネットフリックスと米パラマウント・スカイダンスの買収提案が並走している。ネットフリックスはWBDの統合を前提とした詳細な資料を提示し、1株27.75ドル(23.25ドルの現金と4.50ドルのネットフリックス株式)での買収を提案した。一方、パラマウントはこの価格を上回る1株30ドルの全額現金による公開買付を開始し、株主に直接判断を求める姿勢を明確にしている。

ネットフリックスは現金+株式による取引 すでに正式締結と発表

ネットフリックスは12月5日、映画およびテレビスタジオ、HBO Max、HBOを含む、WBDを買収する正式契約を締結したことを発表した。現金および株式による取引は、WBD株式1株あたり27.75ドルで、企業価値は約827億ドル(株式価値720億ドル)となる。

本取引は、WBDのグローバルネットワーク部門であるDiscovery Globalが新たな上場企業として既に発表されている分割後に完了する見込みであり、現在のところ12〜18カ月後に完了する見込みとしている。

また、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー傘下でニューヨークに本部を置くホーム・ボックス・オフィス(Home Box Office, Inc.)が運営する、アメリカ合衆国の衛星放送およびケーブルテレビ放送局・HBO、運営する定額制動画配信サービス「HBO Max」などの既存事業を維持し、映画の劇場公開を含むその強みをさらに強化していく方針とした。

パラマウント、ネットフリックスに対抗した買収提案

一方パラマウントは12月8日、WBDの発行済株式すべてを対象に、1株あたり30ドルの全額現金による公開買付(Tender Offer)を開始したと発表した。今回の提案は WBD 全体(Global Networks 部門を含む)を対象としている。

パラマウントは、自社の提案がネットフリックス案よりもWBD株主にとって明確に優れていると主張。まず価格面では、1株30ドルの全額現金という条件を提示、企業価値に換算すると1,084億ドルに達する。これはネットフリックスが示した1株27.75ドル(うち23.25ドルが現金、4.50ドルがネットフリックス株式)を上回る。

またパラマウントは、買収が成立した場合の統合後の姿についても具体的な構想を示している。それによれば、パラマウントとWBDの制作基盤を組み合わせることでハリウッドでも最大級の制作体制を構築し、クリエイターの確保と育成を強化するという。劇場公開作品は引き続き両社で展開し、その規模をさらに拡大する方針だ。

さらに「Paramount+」と「HBO Max」を統合し、Netflix、Amazon、Disney に対抗し得る競争力を持つ配信サービスを形成すると主張。技術面では Oracle との協業で基盤を拡充し、スポーツ領域ではNFL、UFC、PGA、NCAA など幅広い放映権を統合することで、総合的なスポーツ配信体制を構築する計画が示された。この統合により、パラマウントは60億ドルを超えるコストシナジーが生まれると見積もっている。

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