日経グループの総合広告会社である日本経済社が、企業のコーポレートコミュニケーション支援を拡充させている。専門組織「コーポレートコミュニケーション戦略センター 」がクライアントに伴走しながら、パーパス、ミッション、ビジョン、バリュー(PMVV)の策定や提供価値(コアバリュー)を言語化して企業としてのストーリーを構築し、社内外に向けて発信するなど多方面な活動を行う。
企業を取り巻く環境が複雑に変化する時代において、コーポレートコミュニケーションはどうあるべきか。また、日経グループのリソースを活用した同社のソリューションとは。センター長 の吹野弘明氏に聞いた。
「企業のありたい姿」に向かって、ギャップを埋めていく
日本経済社がコーポレートコミュニケーション支援の専門組織を立ち上げたのは2023年のこと。広告会社は一般的に、クライアントの売上拡大に直接的に貢献する商品ブランドのマーケティングコミュニケーションが主戦場とされるが、日経グループの同社はBtoB領域に強みを持つことなどから、経営戦略に根差したコーポレートコミュニケーションの支援に携わることがこれまでも多かったという。
マーケティングコミュニケーションとコーポレートコミュニケーションの比較
「個別に対応してきた機能を集約することでノウハウを蓄積し、クライアントによりよい提案ができる体制を整えて社内での標準化を進めるという発想から専門組織が立ち上がりました」と吹野氏は説明する。この強みが総合広告会社としての同社の独自性や競争力の源泉にもつながっている。
日本経済社 ストラテジック・ソリューション本部 コーポレートコミュニケーション戦略センター センター長 吹野弘明 氏
クライアントから寄せられる日々の相談で多く見受けられるのは「社名の認知度を上げたい」というもの。もっとも、社名が知られるだけでは不十分だ。企業の価値を決めるのはあくまでステークホルダーであり、「どのような企業なのか」というイメージと合わせて企業ブランドへの価値評価が伴うからだ。
日本経済社のクライアントへの提案は、「まずクライアントの現在の姿(As-Is)とありたい姿(To-Be)を見極め、そのギャップを明らかにすることから始めます」と吹野氏。現状の把握には、クライアントの統合報告書や各種の第三者調査のような客観的なデータも読み込み、「世の中からいまどのように見られているのか」をつかむ。その上で、クライアントへのヒアリングや壁打ちなどを通じて「どのように見られたいか」というゴールを設定する。
「大切なことは、As-IsとTo-Beのギャップを埋める企業の成長戦略を『ストーリー』として組み立てることです」(吹野氏)
企業の価値創造に向けた成長戦略をストーリーとして描く
周年コミュニケーションに新たな意義を与えることも
同社が支援を行うきっかけのひとつにクライアントの「周年コミュニケーション」がある。周年事業への取り組みを通じて、さまざまなステークホルダーへ感謝の意を示すだけでなく、クライアント自身が自社の存在意義やこれまでの歩み、社会に提供する価値などを再確認し、未来へ向けてさらに成長するための展望を示す絶好の機会になるからだ。
「創立記念日に広告を出したい」といった相談を受けることがあるが、一歩踏み込んだメッセージ設計を提案することも。「例えば、クライアントのOB・OG社員への敬意、従業員とその家族への感謝、競争を生き抜いてきた経営資源としての企業資産と、今後の成長戦略などを一貫したストーリーとしてステークホルダーへ示すことで、周年事業に一層の意義を付与することができます」
そのほか、社員参加型でビルドアップするパーパス・ミッション・ビジョン・バリュー(PMVV)などの言語化、BtoBならではのクリエイティブ表現など、多岐にわたるアウトプットを提供している。特に、社名変更のような局面では、その背景や将来像を丁寧に言語化し、企業としての新たなアイデンティティを構築するための支援を行う。
クライアントの持続的な成長へ、日経グループの資産を活かす
コーポレートコミュニケーションは即効性のあるマーケティング施策とは異なり、中長期的な視点で企業価値の向上を目指すものだ。例えば採用ブランディングの相談であっても、単なる求職者集めにとどまらず、企業が人材を獲得する真剣な姿は、IRにおいて株主や投資家からの共感を呼ぶことにもつながり、従業員のエンゲージメントの向上が採用活動の呼び水になるようなこともある。
そのほかにも営業顧客やサプライチェーンのビジネスパートナー、あるいは社会や地球そのものも企業にとって欠かせないステークホルダーであり、このようなマルチステークホルダーとのエンゲージメント形成を視野に入れることは、企業経営を持続可能なものとする上で欠かせないポイントになるという。
ステークホルダーとのエンゲージメント形成の連鎖
また、どのような企業にも成長のライフサイクルがあると言う。どんな企業や事業でも市場への参入、市場での成長期と成熟期を経て、やがて再構築が必要な時期も訪れる。日本経済社はそのフェーズごとに企業が抱える経営課題に適したコーポレートコミュニケーションを提供する。
企業の成長に伴う経営課題とコミュニケーションニーズは尽きない
日本経済社の最大の強みは、日経グループが持つメディアネットワークと、それに付随する質の高いビジネスオーディエンスとの接点やコンテクストを効果的に活用できる点だ。新聞、テレビ、オンラインメディアなど、グループの多様なリソースを組み合わせることで、他の広告会社には真似できない、多角的なコーポレートコミュニケーションを戦略的に提案することができる。
例えば、日本経済新聞社が提供する日経企業イメージ調査の経年変化や競合他社との比較分析を行いながら、企業のファクトをベンチマークしていく伴走モデルなども、日経グループならではのリソース活用の一例だろう。
「日経グループであることも特長ですが、そのほかにもブランドコンサルティング会社やIR支援会社、海外コミュニケーションのパートナーなど、さまざまな分野のプロフェッショナルとの協業も積極的に行い、クライアントの課題解決に向き合っています。持続可能な企業経営を追求する上では、ステークホルダーから共感され、企業の社会価値を認められる企業ブランドを構築することが欠かせません。企業価値の向上に向けてコミュニケーションの力で貢献し、力強くユニークな企業のブランド価値を追求するというミッションを、日本経済社はこれからもさらに進化させていきたいと思います」(吹野氏)
お問い合わせ
株式会社 日本経済社
コーポレートコミュニケーション戦略センター
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