Z世代はS(ソーシャル)世代に 大学生意識調査2025発表

東京広告協会主催の「大学生意識調査プロジェクト FUTURE2025」が12月17日、「大学生の社会参画に関する大学生意識調査」の結果を発表した。首都圏6大学(青山学院、江戸川、駒澤、専修、千葉商科、東京都立)の大学生が、全国の大学生905人を対象に実施した調査をもとに、現代の大学生と社会の関わり方の変化を解き明かした。

日本への好意度低下と社会参画のねじれ構造

調査によると、大学生の日本に対する好意度は2014年と比較して33.3ポイント下落し、64.1%となった。一方で、前回の参議院選挙では62.8%もの大学生が投票に参加している。この「意識と行動のねじれ構造」の背景には、新型コロナウイルスの世界的蔓延や安倍元首相襲撃、東日本大震災など、社会の揺らぎを経験してきたことによる当事者意識の高まりがある。

「大学生にとっての一番の関心とは不確実性の高い現代社会でいかに社会を生き抜いていくかといった部分です。私たち大学生は社会を帰属するものではなく社会を自分たちが攻略すべきフィールドとして考えています」と調査プロジェクトメンバーは発表した。

このように現代の大学生は正解のない時代を強く意識している。「これまで正解とされていた生き方は、自分たちの世代には通用しないと思う」という問いに53.1%が「共感できる」「まあ共感できる」と回答した。

情報リテラシーが社会を生き抜く武器に

大学生が知りたいと思う情報について、「事実として的確な情報」(64.0%)が最も高く、「簡潔で分かりやすい情報」(62.8%)、「自分の興味に沿った情報」(62.2%)が続く。昨年の調査では「自分の興味に沿った情報」が1位だったが、わずか1年で「事実として的確な情報」が優先されるように変化した。

また、メディア利用状況を見ると、YouTubeやSNSを日常的に利用する一方、検索エンジンやニュースアプリも積極的に活用している。これは、単に情報を受け取るだけでなく、その真偽を見極めようとする姿勢の表れとみられる。

「現在の大学生はYouTubeやTikTokばかり見ているというイメージがあるかもしれないが、多様な媒体で情報収集し、周囲の反応や他者の意見から多様な解釈を意図的にくみ取り、それらを自分自身の価値観と照らし合わせ、比較検討することで行動の基準となる真の事実を見極めようとしている」と調査プロジェクトメンバーは分析している。

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