今回の体験講座では、講師の阿部広太郎さんに加えて、第5期卒業生で最終課題のグランプリに選ばれた市野花さん、降旗花緒さんが登壇。グランプリ作品がどのように生まれたか、学びをどのように実務に活かしているのかなどを語りました。
視点の違いがクリエイティブにつながる
━━この講座では毎回、異なるペアで課題に取り組みますが、実際にペアを組んでみてどうでしたか?
市野花(第5期アート生):普段の業務でもデザインを担当しているのですが、同年代のコピーライターと組む機会がそれほど多いわけでもなかったので、新鮮でした。
今までは意識がデザインに集中しがちだったのですが、ビジュアル視点だけでなく、コピー視点で企画を考えることを学んで、デザインとコピーの結びつきをより意識するようになりましたね。
降旗花緒(第5期コピー生):私は、コピーのビジュアル的な解像度があがってきました。普段コピーを検討するときは、白い紙に一行、真ん中にコピーを置くことが多いです。余計なデザインの要素を入れてしまうと、ノイズになると考えていました。
だけど、アートとコピーではコピーの見せ方に関しても議論していきます。そこで、私自身にもイメージやアイデアがないと、話が膨らんでいかないことを実感しました。どちらの良さもあると思うので、都度検証していきたいです。
阿部広太郎(講師):アートとコピーはお互いの視点が違うので、最初は戸惑いや違和感を覚えることもあるかもしれません。ただ、その違いこそがまだ見ぬクリエイティブにつながるんだと思います。視点の違いをどう融合させるか、そこが大きなポイントですよね。
グランプリのアイデアは、どう生まれたのか
━━今回のキービジュアルにもなっている、グランプリのクリエイティブはどう生まれたのでしょうか?
市野:最初から完成形が見えていたわけではなくて、いくつか案を出しながら、二人でブラッシュアップしていきました。まずは、何を軸にするかを話し合っていましたね。
降旗:アートとコピーならではの訴求があること、というのは最初から意識していました。それと同時に、審査会の中で「これがいいよね」と選んでもらえるかどうか、という視点もすごく大事にしていました。
市野:最終課題に関しては、「一番にならないと(雑誌ブレーンに)掲載されない」という前提があったので。分かりやすく、強さがあるビジュアルを目指そうと二人で話しました。
━━その中での迷いや、立ち止まったポイントはありましたか?
市野:例えば、この原石の案(画像左)については、石の側面に生徒たちの写真を入れ込むことで、感覚や技術が研ぎ澄まされていくことを表現しようというアイデアでした。しかし、(過去に写真を使ったビジュアルはなかったので)表現としては新しいけれど、ぱっと見た時のインパクトはないのでは?という結論になりました。
また、アートとコピーのキービジュアルとして、「他の講座でも言えてしまいそう」という点も気になりました。
━━そこから、どのように方向性が決まっていったのでしょうか?
降旗:いろいろな案を出す中で、食べ物のビジュアルがインパクトもあってキャッチーだよねとなり、フルーツの案が出てきたんです。“まだちょっと青いフルーツ”から成熟していく変化で、成長プロセスを表現できるんじゃないか、という話になったんです。
阿部:こうして過程を見せてもらうと、完成度の高さに納得します。最後まで考え抜くことで、表層的にならず、人を立ち止まらせる力が生まれるんだと思います。
挑戦することで自分の限界を超える
━━講座を経て、最も成長を感じた部分はどこですか?
市野:自分の感覚と審査側の評価が近づいてきたことですかね。今までは、自分のイチオシ案はあまり評価されず、そこまで思い入れがなかった案がいいね!と言われることが多く、自己評価とのギャップがありました。
講座で繰り返し制作をして、他の方の作品を見て、フィードバックをもらうことで、前よりも冷静な目をもてるようになってきた気がします。そのおかげか、公募のコンペでも賞をいただけたので、少しずつですが自信がついてきました。
降旗:「つくる体力」がついたところです。同じ講座生たちに背中を押されますし、作品に一生懸命向き合い、毎月つくりきらなければならない課題がある、そんな環境で過ごすうちに、つくることへのハードルがぐっと下がっていきました。
阿部:自分たちのアイデアに自信を持てるというのは、つまりは表現に明確な狙いを込められるということだと思うんですよね。最初は、自分のアイデアに迷いや不安があるんですが、何度も意見を交わし、講師からのフィードバックを受けていくうちに、だんだんと審査員の目線を自分の中に持つことができるようになっていきます。
━━この講座が、実務にどう影響を与えていますか?
降旗:アートの領域にも責任をもって取り組めるようになりました。今までは、私はコピー担当だから…と一歩引いていたところがありましたが、違う立場だからこそ見えるものがあると気づきを得ました。そのおかげで、業務でもどんどん意見を出せるようになっています。
市野:私も、前よりも積極的にコピーについて考えるようになりました。デザインとコピーで線引きするのではなく、お互いに意見を出し合う姿勢はこれからも大切にしていきたいです。
降旗:デザイナーと一緒に作業を進める中で、アイデア自体をどうブラッシュアップしていくかが大事だと実感しています。特にチームワークが重要で、デザイナーやディレクターと意見を交わしながら進めることで、より良いアイデアが生まれるんです。
スキルだけではない、ともに“成長”する場
━━最後に、この講座をどんな人におすすめしたいか教えてください。
市野:貪欲に頑張りたいと思っている方におすすめしたいです!特に、ひとりで行き詰まっている方には、ぜひここで最高の相方を見つけてほしいです。自分と相方次第でいくらでもチャレンジできるし、成長できる。そんな講座だと思います。
降旗:もっと多くの刺激を受けて成長したいという人におすすめしたいですね。クリエイティブに対する情熱を持ち続けることができる人には、きっと役立つと思います。
阿部:「アートとコピー」は、スキルを学ぶだけの場ではなく、異なる職種の人たちと共に企画をして、つくりつづけることで成長する場です。とにかく気持ちのある方たちに集ってほしいという気持ちがあります。自分のキャリアを切り拓きたい方、今までにないクリエイティブを生み出したいという方は、ぜひチャレンジしてみてほしいです。
コピーライター養成講座×アートディレクター養成講座
「アートとコピー」 阿部広太郎クラスとは
第6期「アートとコピー」が2026年3月7日(土)から開講します。この講座は、コピーライターとデザイナーが毎回別のコンビを組み、課題に取り組む全8回のクラスです。ときには、制作したクリエイティブを全員で審査し、コンビ同士で競い合うこともあります。より成長したいと考えているデザイナー、アートディレクター、コピーライター、プランナーの方々におすすめです。
- 開講日:2026年3月7日(土)19:00~21:00
- 講義回数:全8回。月1回の土曜開催
- 開催形式:教室とオンラインを各回自由選択できるハイブリッド開催
- 定員:40名(コピーライター枠20名、デザイナー・アートディレクター枠20名)
※お申し込みにはポートフォリオの提出が必要です。
※人数次第で事前選考があります。
エントリー締め切りは2026年2月16日(月)18:00までです。詳しくはサイトをご覧ください。詳細・お申込はこちらから
1月17日(土)に、メイン講師の阿部広太郎さん、ゲストの前田高志さんが登壇する無料体験講座を開催します。詳しくはこちら



