「周囲からの誘い」構図を活用した初心者向けアプローチ
来年の午年に先駆け、今年は早くも競馬ブームが沸騰した1年だった。競馬を題材にしたTBSドラマ「ザ・ロイヤルファミリー」が盛り上がりを見せたほか、元プロ野球選手のイチロー氏やボーイズグループのGENERATIONSなど、さまざまな業界の著名人が競馬とコラボした。若年層や女性の競馬ファンも急増しており、JRAのデータによると、今年(1月5日~12月14日)の女性の来場者数は、前年(2024年1月6日~12月8日)と比べて約9万人増加している。
12月28日には、今年を締めくくる「有馬記念」も控えている。昨年の覇者「レガレイラ」が、牝馬として史上初の連覇を達成する可能性に注目が集まる。急速に高まる競馬ブーム。馬が自ら進んでいく勢いは「行き脚」と呼ばれるが、JRAはどのようにして競馬ブームをここまで押し上げてきたのか。CMなどのプロモーション戦略の裏側と、2026年に向けた意気込みを聞いた。
今年は競馬初心者の竹内涼真を起用
JRAは今年、プロモーションキャラクターとして長澤まさみ、見上愛、佐々木蔵之介、竹内涼真の4人を起用している。長澤と見上は2022年、佐々木は2023年から継続しており、今年は競馬初心者の竹内涼真が加わった形だ。メンバーを入れ替えるのではなく、年々追加する手法をとっている。担当者によると、これはタレントや楽曲を数年にわたって継続使用することで、消費者に世界観を浸透させ、ブランドを成熟させるという中長期的な戦略に基づいている。
調査データによると、競馬への初参加のきっかけの約41%が「周囲からの誘い」となっており、JRAは競馬初心者の竹内を活用してこのアプローチを強化。既存メンバーが竹内を競馬へ誘うという構図を活用したほか、Webコンテンツでも竹内と共に学ぶ初心者向け講座を展開するなど、未経験層への働きかけを強めた。
さらに4人体制になったことで、競馬場での表彰式やトークショーといったイベント出演の幅も広がったという。
