「コミュニティ」に入り込み、顧客の「熱量」を売上につなげる次世代戦略 ~ダイドードリンコとホットリンクが語る、現代の消費者を動かす“共感”と“お邪魔する”アプローチ~

大阪で2025年11月28日に開催された「宣伝会議サミット/環境ビジネス・カンファレンス in Osaka」で、成熟市場やアルゴリズムの変化に直面する企業がいかにして新規顧客を獲得し、売上につなげるかをテーマにした2つのセッションが行われた。
最初に、ダイドードリンコの坂本大介氏が登壇し、自動販売機という「待ち」のチャネルにおいて、IP(知的財産)コンテンツの「熱量」を活用し、新規層の関心を強く引き寄せるコラボレーション戦略を語った。次に、ホットリンクの増岡宏紀氏が登壇し、SNSのアルゴリズム変化に対応した「指名検索」を増やすためのロジックと、既存のコミュニティに「お邪魔する」という独自のアプローチを解説した。

自販機ビジネスの課題と「ワクワク感」の創出

本講演では、ダイドードリンコで長年マーケティングを牽引する坂本氏が、売上の約9割を占める自動販売機ビジネスの課題と、それを打開するためのIPコラボレーション戦略について詳説した。国内の飲料自販機市場は、コンビニの増加や人口減少により台数が減少傾向にあり、消費者の自販機利用動機も「近さ」「安さ」といった利便性に偏っている。

坂本氏は、自販機チャネルに欠けているのは「買い物本来の楽しさ(ワクワク感)」であると指摘。「ダイドーの自販機に行けば、他にはない新しい商品や面白い体験に出会える」という期待感を醸成するため、ハード(募金自販機や多様な決済方法など)とソフト(商品)の両面から価値向上に取り組んでいる。

ファンの「熱量」を借りるIPコラボレーション戦略

通常のマーケティングでは届かない層にアプローチするため、同社はアニメ(『鬼滅の刃』『呪術廻戦』など)、ゲーム(『モンスターハンター』『ブルーアーカイブ』)、K-POPアーティストなどとのコラボレーションを積極的に展開している。 坂本氏は、IPコラボの最大の魅力は「ファンの圧倒的な熱量」にあり、これによって普段は自販機を利用しない層が「商品を探して買う」という能動的な行動変容を起こすと語る。一方で、コラボ期間終了後の売上維持が課題となるため、単なる一時的な売上づくりではなく、継続的な関係構築(ロイヤリティ向上)を目指した施策を行っている。

具体的な成功事例:

• FRISK SPARKLING(空気感の醸成): 2024年に話題になったものの味覚に対するネガティブなバズり方をした反省から、今年はX(旧Twitter)上のポジティブな声を可視化・広告化する施策を実施。「SNSでの評判」をトライアル理由にする層を増やし、「面白い飲料」から「冷感リフレッシュ飲料」への認識転換を図った。

• ブルーアーカイブ(LINE会員獲得): キャンペーン応募条件にLINE友だち追加を設定。通常はハードルが高いが、ファンの熱量がこれを上回り、従来の施策と比較してコストゼロで昨対比9倍の新規LINEユーザーを獲得。さらに、キャンペーン参加者の購買本数が期間中に大幅にリフトアップ(約18本増)する成果を上げた。

担当者は「そのコンテンツを一番好きになれ」

坂本氏は、IPコラボを成功させる最大の秘訣として「ファンの熱量に徹底して寄り添うこと」を挙げた。売上や利益だけを見て表面的なデザインを施すだけでは、ファンに見透かされ、ブランド毀損につながるリスクがある。

担当者がそのコンテンツを誰よりも理解し、ファンが何を喜び、どうすれば集めたくなるかを考え抜くことが不可欠であるとし、「消費者の便益(グッズが欲しい)」と「企業の便益(継続的に買ってほしい)」を合致させるために、顧客データを活用した継続的なアプローチの重要性を説いて締めくくった。

SNSの役割は「メンタルアベイラビリティ」を高めること

ホットリンクの増岡氏は、SNSマーケティングの目的を「指名検索(指名買い)」を生むための「メンタルアベイラビリティ(ブランド想起のされやすさ)」を高めることにあると定義した。 消費者が何かを欲しいと思った際、第一想起されるブランドになることが重要であり、実際に「指名検索」を行うユーザーのコンバージョン率(CVR)は、一般検索と比較して約12倍〜24倍にも上るというデータを示した。SNSはこの「思い出してもらう確率」を高めるためのツールであり、そのための鍵となるのがUGC(ユーザーのクチコミ)であると解説した。

アルゴリズムの変化と「量×質」の戦略

現在、SNSのアルゴリズムは「フォロー・フォロワー関係」に基づく投稿の表示から「レコメンド(おすすめ)」による表示へと移行している。増岡氏がクライアント支援で計測したデータによると、企業アカウントの投稿がフォロワーに届く確率は10〜20%以下に低下している。この状況下で成果を出すためには、「量(リーチ)」と「質(ブランド想起)」の両輪が必要である。

• 量の確保: オーガニック投稿だけで「おすすめ」に載るのを待つのはギャンブルに近い。少額(数千円〜)でも広告を活用し、狙った層に確実に情報を届けることが現代の正攻法である。

• 質の確保: 闇雲に広げるのではなく、「〇〇といえば自社ブランド」という強固な想起軸を作ることが重要である。

コミュニティを「作る」のではなく「お邪魔する」

増岡氏は、SNS上のターゲット設定において「ペルソナ」ではなく「コミュニティ」で考えるべきだと提唱した。ただし、日用品や食品などの低関与商材の場合、自社でゼロからファンコミュニティを作るのは困難であるため、既存のコミュニティ(例:サウナ好き、キャンプ好き、アニメファンなど)に「お邪魔する」アプローチが有効であるとした。

ジョンソンヴィルの成功事例: ソーセージブランドのジョンソンヴィルでは、X上のクチコミ分析から「アウトドア界隈」との親和性を発見。投稿内容をキャンプ飯に特化させ、アウトドア系インフルエンサー(リロ氏)を起用してコミュニティ内に情報を投下した。その結果、テレビCM実施時を大きく上回るPOS売上を達成した。

最後に増岡氏は、生成AI(Xの「Grok」など)を活用して自社ブランドが受け入れられそうなコミュニティを探す具体的なTIPSを紹介し、UGCを起点とした循環(ULSSASモデル)を作ることが、再現性のある売上成長につながると結んだ。

お問い合わせ

株式会社ホットリンク

Mail:solutionsalesdev@hottolink.co.jp

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