「具なし」カップ麺、「皮だけ」中華まんが示す「引き算マーケティング」の正体

物価対策、健康志向、カスタマイズ需要など様々な切り口

商品価値を高める手法が変わりつつある。これまでは「メガ盛り」「マシマシ」「おまけ付き」といった足し算の発想が主流だった。しかし近年は、価値観のミニマル化や健康志向を背景に、余分を省く引き算の発想を取り入れた商品が注目を集めている。いわば「引き算マーケティング」で成功した企業に取材し、その思惑や狙いを探った。

井村屋の具なし中華まん「すまん」

コンビニで「引き算マーケティング」を象徴するのが、ローソンのカップ麺「スープ激うま!」シリーズ。具材(かやく)を省き、スープの品質にコストを集中させた商品。本格的な味わいを実現しつつ、具材を省くことでローソンのカップラーメン全体の平均価格である約250円以下に価格を抑えることに成功した。具材がないことで、煮玉子や白米などを自分好みにカスタマイズできる点も評価されている。

2024年10月に発売した第一弾「激辛味噌ラーメン」「濃厚豚骨ラーメン」は、発売初週の売上でローソンのプライベートブランドカップ麺の上位を占めた。その後、2025年1月28日には「札幌味噌ラーメン」「京都背脂醤油ラーメン」(背脂顆粒のかやく入り)を追加し、シリーズとしての展開を広げている。

開発の背景には、「高品質なカップラーメンを手頃な価格で食べたい」という顧客の声があった。担当者は「スープの味を追求する中で具材にかけるコストを見直し、最終的に具なしという発想に至った」と語っている。

同社はスイーツ分野でも引き算マーケティングを実施している。トッピングがない「シンプルショートケーキ」は、2023年クリスマス向け(予約商品)として登場して話題となった。6号サイズで税込2490円という手頃な価格を実現している。

「好きなフルーツを乗せたい」といったカスタマイズ需要に応えているほか、「いちごが苦手」「いちごアレルギーがある」といった理由で従来のホールケーキに苦手意識を持つ人にも支持されているという。

ローソン以外のコンビニも独自の引き算商品を展開している。ファミリーマートは2025年秋、「LabQ監修 至高の一杯 かけ醤油らぁめん」(税込478円)を発売した。札幌市の人気店「Japanese Ramen Noodle LabQ」が監修し、具材は白ねぎのみに絞った。麺とスープの完成度を極限まで高めることで、「具はいらないから、うまい一杯を味わいたい」というニーズに応えている。この商品は、ファミリーマートのチルドラーメンとして初の具なし“かけラーメン”であり、北海道・関東・東海の約6000店で展開された。

次のページ
1 2
この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事

    タイアップ