しまむら しまむら広告宣伝部 主幹 阿部勝教氏、DoFull チーフプランナー 甲田凌也氏
ショートドラマ×「推し活」で熱量を購買につなげる
―今回ショートドラマ施策を立ち上げた背景について伺います。「しまむら」はすでに幅広い層に認知されていますが、どのようなマーケティング課題があったのでしょうか。
阿部:今回の取り組みでは、若年層の購買行動を促すことを目的にショートドラマを活用しました。
課題は大きく2つあります。ひとつは、従来のWeb CMが「広告らしさ」ゆえにスキップされやすく、商品の魅力を十分に伝えきれない状況にあったこと。もうひとつは、SNS上で好反応は得られても、それが実際の購買行動につながっていなかった点です。「かわいい」と思っても、買うまでには心理的なハードルがあると感じていました。
―ショートドラマは、ブランディングや認知目的で用いられることが多い印象があります。今回はどのように「購買」につなげたのでしょうか。
甲田:事前のオリエンテーションでは、「再生回数」と「商品消化率」をKPIとして設定いただきました。そこで今回は、「ショート動画の視聴態度に最適化した脚本構造」に「トレンドアイドル」を掛け合わせることで、物語としての面白さとファンに喜んでもらえる仕掛けを両立させ、エンゲージメントの向上を通じて購買へとつながる具体的な行動を生み出す設計を目指しました。
―DoFullさんを選んだ理由をお聞かせください。
阿部:繊維商社の豊島様と連携し手法を模索するなかで、同社でデジタルマーケティングを担当する執行役員の渡辺哲祥氏に紹介をいただきました。決め手は、再生数の獲得力に加え、視聴者の感情を動かすエモーショナルな表現を得意としている点。コメントやキャプションの設計にも工夫があり、「ショート動画でコメント欄が盛り上がってほしい」という狙いとも合致していました。
―今回の施策では、アイドルグループ「超ときめき♡宣伝部」の小泉遥香さんをキャスティングされています。脚本や演出で重視した点を教えてください。
甲田:最も重視したのは離脱を防ぐための「冒頭10秒」の設計です。短時間で視聴者の思考や感情を動かし、物語の概要を直感的に理解してもらう構造にしました。また、ターゲットである20代前半の女性を意識し、1本目では「プチプラ=安っぽい」という先入観を覆す「高見え」を、2本目では「好きな服を好きなだけ楽しめる」世界観をコミカルに描きました。
阿部:出演者全員を当社アイテムでコーディネートした点もこだわりです。そこに気づいたユーザーのコメントからさらに反応が広がるなど、商品への良い印象が高まっていく手ごたえがありました。
―具体的な施策の成果を教えてください。
阿部:想定以上の成果です。企画商品の消化率は目標の1.8倍を達成し、前年度施策比で200%超えを記録しました【図】。発売前からの告知により初日の平日から売上が伸び、店舗によっては完売する商品も。動画によって来店行動を後押しできたと感じています。
10月24日公開の第二弾【オイロナオシ】より。主演の小泉遥香さんは、ニットコーデ6種類とそれぞれのカラーバリエーションと多数の商品を着用。動画はしまむらの公式TikTok、Instagram、X、YouTubeで公開したほか、一部店頭のデジタルサイネージでも放映した。
甲田:再生数もKPIの1本あたり50万回を大きく超え、2本合計で545万再生以上を記録しました。コメントも9割以上が好意的なものでした。視聴と購買を直結でき、「ここ数年で最も売れた施策のひとつ」と評価いただけたことを大変嬉しく思っています。
阿部:さらに、当社のYouTubeのチャンネル登録者数は約2000人増加しました。また、サイトの商品ページに男性モデルの写真を追加したことで、それを見た男性が購入に至るなど、「推し活」の熱量が新規層の創出につながりました。
―今後の展望をお聞かせください。
甲田:これまでショートドラマは、フォーマット自体のトレンド性で注目を集められる時期がありました。しかし今後は、企業独自のキャラクター性や、インフルエンサーとの掛け合わせなど、“ショートドラマ×〇〇”という考え方が高いエンゲージメントと購買を両立させる鍵になると考えています。最近でもインフルエンサーを起用したアカウントが伸びており、直近のトレンドとして台頭していることも実感しています。
阿部:今回、店頭のデジタルサイネージでも放映し、SNSを使わない層にも訴求できました。今後もリテールメディアとの連携を強化していきたいですね。
実はショート動画は私自身も大好きで、広告担当になった当初から挑戦したいと考えていた施策のひとつでした。今回の成功を起点に、継続的な取り組みとして発展させていきたいです。動画からEC購入につながる導線設計にも注力し、「楽しみながら買える」体験を提供していきたいです。
甲田:新作発売やキャンペーンなどのタイミングに合わせて切り口を変えながら、年間を通じ継続的に発信していく体制を一緒につくり上げていきたいと考えています。将来的には専用アカウントを育てる「IP化」によって、ブランドのファンベース戦略を強化していきたいです。

お問い合わせ

株式会社DoFull
E-mail:info@dofull.jp(甲田)


