危機管理の専門家が見た、M-1グランプリ2025王者たくろうへの祝福コメント

文 :浅見隆行(アサミ経営法律事務所 弁護士)
1997年早稲田大学卒。2000年弁護士登録。中島経営法律
事務所勤務を経て、2009年にアサミ経営法律事務所開設。企業危機管理、危機
管理広報、会社法に主に取り組むほか、企業研修・講演の実績も数多い。

昨年末に開催された漫才コンクールM-1グランプリ2025決勝戦では、赤木裕さんときむらバンドさんのコンビであるたくろうが優勝しました。

リングアナウンサーのネタを披露した決勝戦では「JTB、旅行のことはおまかせあれ」「KSD、京都産業大学」「人呼んで、世界に誇る、トヨタ自動車」などとボケ、また上位3組によって行われた最終決戦ではビバリーヒルズネタを披露し、GoogleのAI開発者に対し「ヤフーで天気予報」、マクドナルドのCEOに対し「やよい軒でおかわり」などとボケて、会場を爆笑の渦に巻きこんでいました。

そうしたところ、優勝決定直後、ネタで名前を挙げられたJTB、Google Japan、トヨタ自動車などの企業各社や、LINEヤフー会長などがたくろうの優勝を祝うコメントをSNSに相次いで投稿。また、京都産業大はたくろうのボケ担当、赤木の母校でもあったことから、公式サイトに「【祝・M-1制覇】たくろう 赤木裕さん(本校卒業生)へ」と題して学長名義でのコメントまで掲載し話題になりました。

投稿した企業のイメージがアップ

こうした臨機応変な投稿ができることは、企業イメージのアップに繋がります。

業務からは少し離れた自由な投稿を許容する企業の度量の広さや風通しの良い企業風土を世の中にも伝えることになります。また、SNSの公式アカウントの運用担当者(中の人)もM-1グランプリを観ていることが伝わることで、世の中の人たちも親近感を覚えます。

一般的に、多くの生活者は商品やサービスの一方的な宣伝や押し売りを嫌います。

これに対して、今回各企業が見せた対応は、世の中の人たちに対して一方的に何かを押し付けるものではありません。むしろ、企業や「中の人」の人間味を感じさせるもので、世の中の人たちは企業を組織ではなく「ひとりの人間」のように受け取ります。結果として、抵抗感なく、企業に愛着を感じやすくなります。その瞬間、人々は、「この企業について投稿していいのかな」などの迷いがなくなり、特定の企業を賞賛することについて心理的ハードルが取り払われている、と言ってもいいかもしれません。

次のページ
1 2
この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事

    タイアップ