広告とライブの役割分担で成果
TikTok Japanは2月3日、「TikTok Shop」の日本でのサービス開始から半年の経過を記念したイベントを都内で開催した。TikTok Shopの活用事例として、王子製薬(三重県津市)、オカラテクノロジズ(宮崎市)、花王の化粧品ブランド「KATE」の3社による座談会も実施。ライブ配信と広告を組み合わせた販促で、従来のECとは異なる顧客体験と成果を得ていると紹介した。
(右から)KATEブランドマネージャーの岩田有弘氏、オカラテクノロジズ 工場長の神戸敏子氏、同社CEOの山内康平氏、王子製薬PR部アシスタントマネージャーの柳川弓華氏
TikTok Shopは2025年6月30日に日本でサービスを開始。ショート動画やライブ配信を通じて、コンテンツを起点に商品との出会いから購入までをアプリ内で完結できる。全体流通総額(GMV)の約7割がコンテンツ起点の売上だという。
日本でのローンチから約半年で、参加事業者は5万社以上に達したほか、クリエイターも20万人以上に拡大。商品を購入した利用者数は初月から20倍に増加した。
導入背景は「購買行動の変化」
洗剤や化粧品を手掛ける消費財メーカーの王子製薬でPR部アシスタントマネージャーを務める柳川弓華氏は、導入の背景として「海外ではライブコマースが当たり前に行われ、売上だけでなくファン化にもつながっている」と説明した。日本でも同様の展開が可能ではないかと考える中で、TikTok Shopのローンチを知り導入を決めたという。
オカラを使った健康食品を開発するオカラテクノロジズの代表取締役・山内康平氏は、ローンチの噂を聞き、先行市場を現地視察したことが参入の決め手になったと明かした。「これは来るなと思い、参入を決めました」と話す。
KATEブランドマネージャーの岩田有弘氏は、購買行動の変化に着目した。「欲しいものを探して買う」だけでなく、動画を見て偶然知った商品に惹かれ、気づけば購入しているような“新しい買い方”が増えているという。こうした変化に対し、ブランド側も購買の起点を捉え直す必要があると述べた。
魅力はリアルタイムの反応と幅広い世代への訴求力
TikTok Shop導入後、各社は反応の速さや顧客接点の変化を実感している。王子製薬の柳川氏は「一番は反応の速さ」と強調し、コメントや質問、購入がリアルタイムに起きることで、商品の魅力が伝わっている手応えを得られると話した。購買層は30〜50代の主婦が最も多く、若年層だけでなく幅広い世代に届いている点に驚いたという。
同社は広告も積極的に活用しており、広告経由のGMV(流通取引総額)は前月比で4593%増という驚異的な成長率を記録している。
オカラテクノロジズは2025年の「TikTokトレンド大賞」ヒットアイテム部門賞に選出。山内氏は、動画やライブ配信によって「静止画では伝えきれない深いメッセージが届けられる」点を評価する。製造過程で廃棄されるオカラに価値を与えるストーリーが、フードロス削減への共感を呼び、ファン醸成につながっているという。
KATEの岩田氏も「想像以上に反響がある」と述べる。フォロワー数は約2倍になり、それ以上に顧客との距離が近づいた実感があるという。動画やライブを通じて、商品を知り、使い方を理解し、共感した上で定期的に見てくれる顧客が増えたと語った。昨年12月のGMVの66%が自社主導のライブコマースによるものだったという。
参加型企画とオンライン・オフラインの融合
王子製薬の柳川氏は、ライブコマースでは「目の前にいるような配信」を意識していると話す。熱量がなければ購入につながりにくいため、配信者の個性を生かし、視聴者が参加できる企画を用意して“一緒に楽しめるライブ”を心がけているという。
KATEではオンラインとオフラインがつながる場面も生まれている。ライブ配信で紹介した東京の実店舗に、地方の視聴者が来店し、コメント欄での交流が実店舗での体験へと接続した例も挙げ、ライブが来店動機になり得る点に魅力を感じていると述べた。
オカラテクノロジズは、フードロス削減という文脈を動画で伝えることで共感を得ている。山内氏は、オカラが豆腐製造の絞りカスであり、廃棄されている現状を発信し、「フードロスをなくそう」という動きへの共感がファン醸成につながっていると分析する。
数字面でも、新規顧客が全モールで増え、TikTok以外も含めてEC全体が約130%に成長したという。ライブコマースでは、工場長の神戸敏子氏が作り手の立場から、飾らず正直に製造の現場や思いを語り、透明性が信頼につながっていると述べた。神戸氏自身もライブ配信に手応えを感じ、継続的に発信しているという。
KATEは、広告とライブの役割を分けて設計している。岩田氏は、広告は「知ってもらい、興味を持ってもらう」役割で、ライブコマースは「理解・納得した上で好きになってもらう」役割だと説明する。
現在は、クリエイターによるライブ配信と自社ライブ配信の2本立てで運用。クリエイターライブ配信では生活者視点のリアルな声で使い方を伝え、自社ライブ配信では開発背景やブランド価値を丁寧に語る。広告と組み合わせることで、TikTok Shopならではの立体的なコミュニケーションができ始めていると手応えを示した。
ブランド体験の場としての進化に期待
今後のTikTok Shopへの期待として、3社はいずれも「単なる販売の場にとどめない」意向を示した。王子製薬の柳川氏は、ブランドを体験してもらえる場へ成長させ、ライブ配信で出会ったファンをオフラインイベントにもつなげたいと述べた。オカラテクノロジズの神戸氏は、商品の価値や挑戦をより多くの人へ伝えたいと語る。KATEの岩田氏は、ブランドが一方的に伝えるのではなく、顧客と一緒にブランドを育てていく場にしたいとし、国や地域を越えて自然に広がることにも期待を寄せた。
関連記事
お問い合わせ
TikTok Japan

