2025年5月にスタートしたコロプラの新作ゲームに、クリエイターであり、同社の社員でもある金子一馬さんの画風を学習した生成AIが搭載された。スマホゲーム業界をリードする同社が生み出した、ゲーム体験そのもののコアにAIを据えたサービス誕生の裏側とは(※1月30日時点の情報を元に記事化しています)。
AIだからこそのゲーム体験
『神魔狩りのツクヨミ』は2025年5月にサービスを開始したスマートフォン&PC向けゲームだ。本作最大の特徴は「AIによるオリジナルカードの生成システム」にある。ゲーム中の選択や行動をAIが学習し、その結果に応じてオリジナルのカードが生成される。
『神魔狩りのツクヨミ』タイトル画面(左)。カードを使って戦闘を進めていく。
コロプラ社内でAIを使ったゲームをつくるプロジェクトの検討が開始されたのは2022年頃。当時、社内ではAI活用による開発効率化に向けた技術検証が進められていた。
同時期に金子一馬さんが入社し、社内のAI技術の活用とクリエイターとしての金子さんが合流する形で企画はスタートした。本プロジェクトの開発プロデューサーを担当したのは、同社 技術基盤本部の齋藤ケビン雄輔さんだ。
初期段階ではゲーム内の会話の生成などテキストベースの活用が模索された。しかし、プロトタイプでの検証において、生成されたテキストの面白さが持続しない点や、ゲームテンポへの懸念が浮上したという。
「ユーザーにとって、テキストが用意されたものか生成されたものかは、本質的な面白さの差にはなりにくいという課題がありました。そこで、AIによる出力のインパクトがより強く、わかりやすい画像生成へと方針を転換しました」(ケビンさん)。
採用されたゲームシステムは、繰り返しの周回プレイを前提とするローグライク形式だ。ローグライクでは、ランダムで手に入るアイテムなどの要素がゲームの進行を大きく左右し、本作においても「神魔札(じんまふだ)」というアイテムがプレイ中にランダムで手に入る。「今回はプレイの途中で手に入る『神魔札』に生成AIを用いることで、毎回異なるビジュアルのカードが手に入る体験を設計しました」とケビンさん。
ゲームの進行状況に応じて手に入るカードの絵柄が毎回異なる仕組みは、プレイヤーに所有感を与え、SNS上でのシェアを誘発する機能も果たしている。また公式によるDiscordサーバーも開設され、交流の場となっている。今作においてAIは、開発やクリエイティブ制作を効率化するツールとしてではなく、ユーザー体験に直接関与する要素として実装された。


