クリエイターの皆さんに独自のお題を設定してもらいプレイリストをつくってもらうシリーズ企画。今回は「紙切り」を基調とした独自の手法でMVやCM、短編アニメーション を制作しているアニメーション作家の土屋萌児さんに選曲をしてもらいました。プレイリストはSpotifyでも公開中です。
ワイプのように広がる世界
むかしから一箇所にとどまるのが苦手でした。ひとつのことを終わらせようとしていたのに、気が付くと違うことを始めていて、その合間にまた別のことを……というように、思考の脱線が今もよく起きてしまいます。
ただ、アニメーションやイラスト、作品とじっくり向き合うときには、耳を音楽やトークで満たしておくと、スーッと作業の世界に入っていきやすいんです。今回選んだ曲は、そんなときに聴いているものを中心にしています。
アニメーションをつくり始めた20歳くらいの頃から、「スタジオ録音の枠をはみ出しているのにいい曲」に強く惹かれていました。Yoonkeeがロンドンの自宅でつくったダブアルバム、野外で録音されて鳥の声が入っているHeronのファーストアルバム、自作の楽器を鳴らし娘が輪唱に参加したMoondogの曲の数々など、コントロールしきれない偶然や親密さが溶け込んだ音に、今も心を奪われます。
MVなどを制作するときも、音楽から勝手にイメージを膨らませながらつくることが多いです。音楽にはいろいろな捉え方があると思うので、視覚的なイメージとして広げることで曲の可能性が広がることもあれば、逆にイメージを固定してしまうことで曲の良さを狭めてしまう場合もあるんじゃないか……と、最近はそんなことを考えながらつくっています。
音楽を聴いて作業していると、テレビのワイプ映像みたいに、メインの作業と別の世界が同時に映っているような心地よさを感じます。身体はここにありながら、どこかに想いを馳せている。そんな脱線しながら進んでいく感じが、実はとても心地いい。音楽には、そんな役割もあるのかなと思っています。
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