「枠」ではなく「体験」を創る TikTok Liteと電通デジタル、LMIが実証した、リテールメディアの真価とは

ユーザー獲得の新たなアプローチを模索していた「TikTok Lite」が、次なる成長の鍵として選んだのは、リアル店舗というオフラインの場だった。電通デジタルの伴走のもと、LMIグループが運営するリテールメディア「トクスルビジョン」を活用し、生活者の買い物動線に違和感なく入り込む体験を設計。結果として、CPI抑制とLTV向上の両立に成功した。成果の裏側にある「コンテキストファースト」な思考について、TikTok Liteを担当する佐藤拓海氏、電通デジタルの佐野玄一郎氏、LMIグループの園内俊昭氏に聞いた。

日常動線に潜む「リアル店舗×クーポン」の可能性

――TikTok Japanとして、「TikTok Lite」のユーザー獲得にどのような課題を感じていたのでしょうか。

佐藤:動画視聴にポイントという新たな価値を付帯した「TikTok Lite」は、2023年のローンチ当初からデジタル広告を中心にユーザー獲得と認知拡大を進めてきました。しかし、デジタル環境下では複数の広告が同じように並び、入札ベースの配信ロジックなどもあり、非常に競争が激しく、配信を継続する中で、同一メディアにおける効果の鈍化が浮き彫りになっていました。

TikTok Lite User Growth Marketing Manager 佐藤拓海 氏

TikTok Lite User Growth Marketing Manager 佐藤拓海 氏

――その課題に対し、電通デジタルはどのような提案をしたのでしょうか。

佐野:私の所属するコマース&プロモーション部門では購買を起点としたマーケティング戦略・戦術立案から実装、PDCAまでを、あらゆる視点でつなげ、ビジネス成果を導くためのご支援を提供しています。その中でも特に大事だと感じる点は、生活者が日常の中で「どのような体験をしているか」「どのような体験があれば幸せを感じるか」を深掘りすることです。ここでの主役はあくまで生活者であり、今回もTikTok Liteの利用者と非利用者双方へのヒアリングを重ねることから始めました。

会話を重ねる中で、彼らの多くがエンターテインメントアプリとしてTikTok Liteを既に認知しており、話題の動画やトレンドなど友人や知人との会話に出るサービスであるということも分かってきました。そこで、話題が生まれる接点として、家族や知人と一緒に訪れる店舗空間に鍵があるのではないかという仮説を立てました。

電通デジタル コマース&プロモーション部門 プロモーションデザイン部 佐野玄一郎 氏

電通デジタル コマース&プロモーション部門 プロモーションデザイン部 佐野玄一郎 氏

加えて、広告を「枠」ではなく「体験」として再定義し、生活者の日常動線の中に、いかに違和感なく強い動機づけを持って潜り込ませるか。この「コンテキストファースト」な思考が、LTV(顧客生涯価値)の高い良質なユーザー獲得につながると考えました。

そして、その活路を探っていた時期に、たまたま妻と訪れたドラッグストアで「トクスルビジョン」を目にしたんです。リテールという誰もが身近な場所で、誰かと会話しながら自然に広告に触れる体験というのは、デジタルでは作りにくい体験であり、ユーザーインタビューから得られていた仮説の方向性とも一致すると感じ、さっそく提案を行いました。

――「トクスルビジョン」の特徴と、他のポイ活メディアとの違いについて教えてください。

園内:「トクスルビジョン」は、リテールアプリ内のバナーをタップしたり、店内サイネージのQRコードをスキャンし、アンケート回答やアプリダウンロードなどのアクションをすると、その店舗ですぐに使えるクーポンや特典が付与されるという仕組みです。

LMIグループ リテールメディア部 マネージャー 園内俊昭 氏

LMIグループ リテールメディア部 マネージャー 園内俊昭 氏

最大の特徴は、生活者の「買い物動線」の中にあること。従来のポイントサイトのようにポイント獲得を目的に訪問するのではなく、店舗内での買い物中や買い物の前後にトクスルビジョンに触れ、自分に合った広告を選んでアクションを起こします。きっかけが根本的に異なるため、TikTok Japan様が重視するLTV向上においても期待できるという強みがあります。

リテールの解像度を上げた「コンテキストファースト」な体験設計

――今回の施策は店舗を「体験装置」と捉えている点が印象的です。生活者に自然な提案として受け入れられる瞬間は、どう設計されたのでしょうか。

佐野:「初回ダウンロードと新規登録で、その店舗で使える専用QUOカードPay1000円分付与」という施策を2025年6月から約10カ月間実施しました。意識したのは、私がトクスルビジョンを生活者として知ったときの原体験のように、日常の生活動線の中で自然に触れられること。例えば、外食チェーン店を訪れた高校生グループが、会話の中でたまたま広告を目にして「いいな」と話題にするような、仕掛けをクリエイティブに盛り込みました。

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店頭やタッチパネルに掲出。デジタルギフトの特典を設け、TikTok Liteのアプリダウンロードを促した

店頭やタッチパネルに掲出。デジタルギフトの特典を設け、TikTok Liteのアプリダウンロードを促した(写真はキャンペーン実施時のもので、現在は設置およびQRコードの読み込みは終了している)

園内:トクスルビジョンの利用者の方にお話を伺うと、「ポイ活はしていないが、自分に合った広告ならポイントを取得してみよう」というライトな層がほとんどです。だからこそ、その店舗を利用する生活者の属性や家庭環境を想像し、適した体験を構築することが重要になります。

例えば、ベビー用品専門店なら20〜30代の妊婦や小さなお子さんを持つ子育て層、カフェチェーンなら移動の合間のビジネスパーソン、回転寿司チェーンであればファミリーや学生グループといったように、ターゲットが大きく異なります。そこで、ベビー用品専門店ではアプリのプッシュ通知を活用し、回転寿司チェーンでは注文タブレットで動画を流すなど、店舗の特性に合わせて「生活者がどこで接触すればより流入しやすいか、最後までアクションしていただけるか」を設計しました。クリエイティブも複数パターンを用意し、反応を見ながら改善するPDCAを回していきました。

――成果や手応えはいかがでしたか。

佐藤:ユーザー獲得数と、インストール後の起動率・利用率の双方で良い成果が見られました。リワード広告は、やみくもにリワードを付与するのではCPI(インストール単価)は抑えられません。今回の体験を通して実感したのは、メディアごとにユーザーの「潜在需要」を見極め、広告を通じてそれを満たすことの大切さです。買い物動線であれば、その場で使えるクーポンは強い動機になります。オンラインメディアで同じ広告を出しても、その場で特典が使えなければコンバージョン率は恐らく異なっていたはず。「何を、どこで、いつ」提供するかが上手く噛み合った結果だと感じています。

園内:特に手応えを感じたのは、TikTok Lite様が重視されていた「翌日起動率」です。他のポイメディアに合わせたクリエイティブの最適化が奏功したと考えています。

佐野: CPIの抑制とLTVの向上を高い次元で両立した点が、最大の成果です。ユーザーが「空腹を満たしたい」「友人・家族と楽しみたい」というポジティブな欲求を持っている瞬間に、TikTok Liteが「その場をさらに豊かにする助っ人」として提示される。「最初のブランド体験の質が、その後のサービス利用率を決める」という仮説が証明されたことは、大きな収穫です。

成果を支えた密なコミュニケーション

――施策を運用し、成果を出していく上でのポイントは何だったのでしょうか。

佐野:アナログではありますが、佐藤さん、園内さんと毎週顔を突き合わせて密にコミュニケーションできたことだと思います。データをただ眺めるだけでなく、「ユーザーはどう反応していて、次はどういう体験にしようか」と会話を重ねていく。プロジェクトチームが成果や成果の改善に加え、顧客体験の創造に対しどれだけ「同じ方向を向けるか」が重要だと考えています。

園内:佐野さんがトクスルビジョンの営業ができるくらい、サービスを深く理解してくださっていたのも非常に心強かったですね。要点を押さえ、リテールパートナーへどういう筋道で相談するかまで考えていただけました。

佐藤:プロジェクトの期間中に、社内でチーム体制や目標の変更が数回ありました。その際、社内説明や調整のための材料作りなど、プラスアルファとも言える部分まで積極的にお二人にサポートいただきました。プロジェクトを継続・維持できたのは、この強固なコミュニケーションのおかげだと思っています。

――今後の展望をお聞かせください。

佐藤:今後もTikTok Liteを知り、使っていただくきっかけをつくれるようメディアの拡大を目指します。そのためには、今回のようにリテールやブランドのリソースを活用するコラボレーションのアプローチが不可欠です。ユーザーはもちろん、パートナー企業の皆様にも価値を感じていただけるよう、マーケティングと並行してプロダクトの品質向上にも取り組んでいきます。

佐野:個人的に面白いと感じたのは、リテールごとに来客層が異なり、その差が広告の成果データにも顕著に表れていたことです。誰かと雑談する場なのか、一人で仕事や考え事をする場なのか。そこに来ている生活者が「どういう体験をしているのか」が、直接的に広告成果に反映される。この「体験を科学する」アプローチは、今後さらに深掘りできる領域だと感じています。

今回のプロジェクトは、まさにお店という空間とそこにいる生活者の体験をつなげ成果につながる形で、当社ならではのご支援が出来た好例だと考えています。今後はさらに様々な業界・業種の方たちとも連携を図りながらより良い体験作りを模索していきたいです。

園内:トクスルビジョンの特徴に、「そのリテールで扱っていないサービス・商品でも出稿できる」点にあります。TikTok Lite様はその成功例ですが、直近では店内で商品を扱っているメーカー様からの問い合わせも増えています。今後は、店舗で扱っていない企業様と扱っている企業様、両方の広告をバランス良く掲載することで、生活者にとってより価値のあるメディアに育てていきたいです。それが購買単価の向上など、リテール側への貢献にもつながると考えています。

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お問い合わせ

株式会社電通デジタル

URL:https://www.dentsudigital.co.jp/


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