日本の暑さは「格が違った」 “緩んだパンツのゴム” と化した偏西風、専門家が「温暖化は日本を狙う」と語る理由

ドイツ東部で41.7度、チェコで40.9度、パリで40.6度――。6月下旬の欧州は記録的な熱波に襲われ、世界保健機関(WHO)は、1週間で熱波に関連する死者が1300人を超えたとの推計を示した。エアコンの普及率が約20%にとどまる欧州では、冷房を求める人が店舗に殺到。日本メーカーの販売も伸びる「エアコン争奪戦」が起きた。

欧州の猛暑が大きな話題となったが、それでも日本の暑さは「格が違う」と指摘するのが、三重大学大学院生物資源学研究科の立花義裕教授だ。

写真 砂漠

立花教授は7月23日、ロッテが開いた暑熱対策企画の発表会で「暑い理由は地球の温暖化だが、温暖化は日本を狙う」と強調。日本では欧州と異なり、厳しい暑さが長期間続く理由を解説した。猛暑によって外出や屋外施設の利用が難しくなる中、ロッテをはじめ、丸の内や池袋などでも、企業が日陰やミスト、冷風設備を整え、人が街や施設に滞在できる環境づくりに乗り出している。

欧州より長い日本の猛暑

日本でも7月下旬、熊谷や名古屋で最高気温40度が予想されるなど、命に関わる危険な暑さが続いている。7月6~12日だけで、熱中症により4580人が救急搬送され、うち7人が死亡した。7月24日にも東京や愛知、大阪など全国35地域に熱中症警戒アラートが発表されている。

立花教授は日本と欧州の猛暑の違いについて、「ヨーロッパの猛暑は、夏のある瞬間だけ暑い。一方、日本の猛暑は長い」と説明した。三重大学の研究グループによると、日本の夏は1982年から2023年までの42年間で、約3週間長くなったという。

夏が長期化し、春と秋が短くなることで、日本は「二季化」が進んでいるという。「二季」は2025年の「新語・流行語大賞」でもトップ10に選ばれた。

立花教授が、日本の暑さを長期化させる要因として挙げたのが、偏西風の大きな蛇行だ。

偏西風は、北極側の寒気と赤道側の暖気の温度差によって吹く。温度差が大きいほど流れは速く安定するが、差が縮まると速度が落ち、南北に蛇行しやすくなるという。

立花教授は、その仕組みを「パンツのゴム」に例えた。「パンツのゴムをピンと張って揺らせば、小刻みに動く。緩めれば、ふらふらと大きく揺れる。偏西風も同じで、流れが速ければまっすぐ進むが、遅くなると大きく蛇行する」という。

地球温暖化は世界で一様に進んでいるわけではなく、北極では赤道付近よりも速いペースで気温が上昇している。このため両地域の温度差が縮まり、偏西風の流れが弱く、不安定になりやすいと説明した。

偏西風が日本の北側へ大きく蛇行すると、日本列島は南からの暖かい空気と高気圧に覆われる。立花教授は、蛇行した偏西風の内側に高気圧が「かぱっとはまる」ことで、厳しい暑さが続きやすくなるとした。

もう一つの要因が、日本近海の高い海面水温だ。暖かい海から熱と大量の水蒸気が供給されるため、気温だけでなく湿度も上がり、蒸し暑さが強まるという。

海は陸地よりも冷めにくい。立花教授は、入浴後の湯船が翌朝まで温かさを残すことに例えた。夏に上昇した海面水温が秋以降も高いまま残り、海から暖かい空気が供給され続けることで、夏の終わりが遅くなると説明した。

立花教授は、エルニーニョ現象が今後さらに強まる可能性にも言及した。気象庁は7月10日、2026年春からエルニーニョ現象が続いているとみられ、秋にかけて継続する見込みを100%としている。WMOも、少なくとも中程度、強い現象に発達する可能性があるとの見方を示している。

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