トップセールスではなく「ハイレイヤー」に着目せよ。8割が100%達成できる “勝てる営業組織” のつくり方

多くの営業組織にとって長年のテーマである「属人化」。トップセールスの勘や経験に依存した組織から、誰もが一定の成果を出せる「仕組み化」された組織へと転換するためには何が必要か。再現性のある継続的な「売れる仕組み」であるセールスイネーブルメントを支援するセレブリックスの今井晶也氏と髙木顕太朗氏に、これから生き残る組織とそうじゃない組織の分岐点はどこにあるのか、AIがどのように営業を変革するのかを聞いた。

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今井晶也

セレブリックス
取締役 執行役員 CMO
市場開発本部長 兼 セレブリックス営業総合研究所 所長

セレブリックス営業総合研究所の所長兼セールスエバンジェリストとして、法人営業・法人購買・AIを活用した営業手法など、セールスの最前線で実践的な研究活動や情報発信を行っている。2021年に出版し、営業本のベストセラーとなった『Sales is 科学的に「成果をコントロールする」営業術』。その待望の続編として、2026年、渾身の最新作『Sales is 2:ファクトファインディング おもしろいほど成果が出る、究極の「問いの技術」』を出版。シリーズ累計発行部数は10万部を超える。現場に即したわかりやすい解説と実践的なノウハウで、多くの営業パーソンやマネジメント層から圧倒的な支持を集めている。現在は取締役 執行役員 CMOとして、全社のマーケティング戦略を主導するとともに、新規事業開発を牽引。

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髙木顕太朗

セレブリックス
セールス事業本部
セールスイネーブルメント支援事業部 部長

営業代行やコンサルティング業務経験で得た現場知見を基に、組織変革に向けたセールスイネーブルメント支援に従事。現在は事業部の部長として組織マネジメントを行う一方、顧客のイネーブルメント施策に現役コンサルタントとしても伴走。大手企業中心のセールスプロセス設計、教育・育成施策の強化支援などを通じて、多数の顧客から継続的な信頼を集めている。

勝てる営業の分岐点は「トップが強い意思を持てるかどうか」

━━これまで様々な会社の営業支援を通じて見えてきた、人に依存しない組織と、依存してしまう組織との分岐点はどこにあるのでしょうか。

今井:前提として、営業という仕事は本質的に「人に依存する」性質を持っています。お客様は、会社の仕組みではなく、その個人の属人性に期待して発注するんです。この人だから信じて任せる、という選び方をするわけですね。営業が差別化を図り、選ばれる人になろうとすればするほど、最終的にはその人に依存するという性質があります。

そのうえで、企業のトップが「このままだとダメだ」という強い意思を持てるかどうかが分岐点になると思います。基本的には、変わりたいと思っている営業パーソンはそもそも少ない。だからこそ、なんとなくトレンドに流されてセールスイネーブルメントに着手するパターンでは、すぐに元の状態に戻ってしまいます。

髙木:営業が上手く進んだときに、それを「その人だからできた」で終わらせてしまう組織は非常に多いです。大事なのは、なぜその人はできて、ほかの人にはできないのかという差分を検証しに行けるかどうかです。そして、その検証を担う役割を組織の中に持てるかどうかも、大きな分岐の1つになっていると思っています。

━━専任担当者を置けない組織でも、その検証は可能でしょうか。

髙木:複数人で役割を分担する形でもいいと思います。

今井:その際、「何かを増やすなら、何かを減らす」という経営の意思決定が重要です。新しいことをやらせようとすれば、今やっている何かを減らさないとバランスが保てません。仕事を増やすことは現場の意思でできても、「この仕事は明日からやらなくていい」と減らせるのは上だけなんです。担当顧客を減らす、資料作成を外部委託するなど、何かをトレードオフしてでも改革にお金やパワーをかけられるかどうか。そこに強い意思があるかが問われています。

トップセールスを型化はしない。狙うのは「ハイレイヤー」

━━セールスイネーブルメントにおいて、トップセールスの感覚や勘は、どのように標準化・体系化しているのでしょうか。

髙木:実は、トップセールスのやり方をそのまま型化しているわけではありません。むしろトップのやり方は、あまり言語化・型化していないんです。

「2:6:2の法則」で言われる上位2割のトップセールスたちは、その人だからこそ成立している属人的な要素が非常に多く、ほかの人では再現しにくいケースも多いんです。そこで我々は、この2:6:2の構造を「2:2:4:2」という構造に分けています。真ん中の6割のうち、比較的トップに近い上位2割の営業パーソン、いわゆる「ハイレイヤー」と呼ばれる人たちに着目します。

常に目標達成120〜200%のトップではなく、安定的に100%達成を続けているハイレイヤーの方々がどんな行動習慣を持ち、どのようにお客様と会話しているかを言語化します。ハイレイヤー層のやり方は比較的再現しやすく、組織の8割の人が100%達成できる状態の方が、業績貢献や数字の変動は当然大きくなります。

━━言語化された型を、実際に現場に浸透させることの難しさはどこにあるのでしょうか。

髙木:一番難しいのは、営業にはリードタイムがある点です。アクションを変えてみても、それが受注という結果に表れるまでに時間がかかります。中には数年かかるものもあり、変更したアクションが本当に正しかったのか、その検証自体が難しいんです。そのため、受注という最終結果だけでなく、次のプロセスがどう進捗したか、受注可能性が高まったかどうかを推し量ることが重要ですね。

今井:型を作ってトレーニングをしても、みんながそのとおりにできるわけじゃないよね。

髙木:確かにマニュアルを渡して「このとおりにやってね」だけでは、行動変容にはつながりにくいです。実際の商談は作った型の流れのとおりにはならず、お客様の反応に合わせて臨機応変に対応することが求められます。「知っている」状態から「できる」状態にするためには、やはりマネージャーの存在が大きいですね。上司がアセスメント(評価)の基準に基づいてフィードバックを行い、それを受けてメンバーが実践で繰り返すサイクルが運用されていれば、再現性は徐々に担保されていきます。

このアセスメントという評価項目・型があるかどうかが、イネーブルメントがうまくいくかどうかの1つの基準になると思います。

今井:正直、イネーブルメントのために入れたツールが、まともに使われていないという会社がほとんどだと思います。現場がツールを導入していることすら知らない、という組織もざらにありますよね。経営層が一度「俺たちは変わるんだ」と発言したくらいでは変わりません。習慣を変えるためには、評価基準はもちろん、会社の文化に深く根付かせる必要があると思います。

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