U-NEXTは8月5日、全作品を無料で公開するWeb文芸誌「文学茶釜(何が出るかな)」を創刊した。純文学を中心に、短歌やエッセイ、動画・音声コンテンツなどを掲載。コミックも含め、ジャンルを越えた多様なコンテンツを展開する。
特徴のひとつが、広告を表示せず、読者からの課金も行わない「全作無料」という設計だ。なぜ、無料で作品を届けるのか。そして、事業としてどのように成立させていくのか。宣伝会議がU-NEXTに取材したところ、無料公開そのものによる収益化ではなく、まず作品と読者が出会う機会を増やすことを優先しているという。
さらに、連載時の反応を書籍化後の売上予測にも生かし、書籍化や映像化、コミカライズなど、その先の展開へつなげていく考えだ。U-NEXTは「文学茶釜」を「IP創出の起点」と位置付けている。
WEB文芸誌「文学茶釜(何が出るかな)」
https://bungaku-chagama.unext.jp/
「読まれる機会」を優先し、全作品を無料公開
「文学茶釜」には、朝比奈秋、市川沙央、上田岳弘、金原ひとみ、九段理江、滝口悠生ら芥川賞作家のほか、歌人の青松輝、ミュージシャンの小袋成彬など、多様な書き手が参加する。小説だけでなく、短歌やエッセイ、コミック、動画などを取り入れ、それぞれのコンテンツを入り口に、読者が新たな作品や書き手と出会えるWeb文芸誌を目指している。
立ち上げを主導したのは、新潮社で約10年間、文芸誌「新潮」や新潮文庫、単行本の編集に携わり、2025年7月にU-NEXTへ入社した鶴我百子氏だ。入社から約1カ月後にWeb文芸誌の構想を提案。社内で検討を重ね、同年12月にプロジェクトが本格始動した。
鶴我氏がU-NEXTへ移ったきっかけのひとつには、出版社で「一冊の本を読者に届けることの難しさ」を感じていたことがある。いい本をつくっても、それだけでは読者の手元まで届きにくい。本の届き方や読まれ方が変化する中で、新しい方法を模索したいと考えたという。
