広告代理店とコンサルの競合はいつからはじまったのか。前回の連載では、宣伝部に紐づいていた広告代理店。経営企画部などの川上部署に紐づいていたコンサルという構造を説明した上で、広告の「効果検証」からコンサルの領域侵犯がはじまったと書いた。
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つまり広告会社が「今回の広告効果はこうでした」と広告出稿の付帯サービスとしてレポートするのではなく、第三者的な立場であるコンサルが、元々保有していた経営データや売上データなども踏まえて「今回の広告に効果はあったのか」を、より高次元でレポートする動きが一部ではじまったのだ。具体的には2010年前後。さまざまな顧客接点がデジタルで可視化されはじめ、CRMという概念が定着しはじめた頃のことだったと思う。
それまでは「今回のキャンペーンはテレビCMに数億円かけてどーんとやっちゃおうよ」的なノリで許されていた会社でも、ここまでデータ化が進むと検証しないわけにはいかない。広告業界で様々なデータが取れるようになっていくにつれ、コンサルは広告代理店の領域に進出してくるようになった。
もちろん、広告代理店もただ黙って見ているわけではない。リサーチ会社やシンクタンクと業務提携を強化し、世の中に溢れるデータを集める動きを活性化させた。ただ肝心の「クライアントの社内データ」を持っていないと検証は難しい。その点、最初から中枢に入り込んでいたコンサルと戦うのは難しかったように思う。
「効果」とはそもそもなんなのか
もう1つ、この領域で広告代理店や宣伝部を悩ませたことがある。それは「効果」の定義だ。例えば経営層やコンサルは「これだけ広告費をかけたのに、売上に変化がない」と指摘する。もしくは「テレビCMをやめたのに売上が落ちなかった」と鬼の首を取ったように主張する。
ただ「テレビCMを放送しても売上があがらなかった」は事実だとしても、それを「効果がなかった」と結論づけるのは、いささか乱暴な気もする。少なくとも効果を感じていたから、企業は広告を打ち続けたはずだ。「売上が上がらない=効果がない」とするには、コンサル業界の「短期視点」が大きく関係している。コンサル業界には外資系企業が多く、多くの仕事がプロジェクト単位で動いている。また終身雇用ではなく、結果が出なければすぐにレイオフ(解雇)されたり、プロジェクトから外されたりするのは当たり前だ。この環境が、彼らの短期視点や「結果直結主義」につながっている。