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2011年のメディア業界の主要トレンドを分析

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テレビはトップメディアの座を維持し、テレビ CM は有効のまま。ソーシャルネットワーク広告は緩やかな伸び。 デジタル配信音楽は CD などの音楽ソフト販売を抜く。

デロイト トウシュ トーマツ リミテッドのテクノロジー・メディア・通信(TMT:Technology, Media and Telecommunications)グループが編集した『Media Predictions 2011』(日本語)を要約・加筆したものです。

テレビは「スーパー・メディア」としての地位を堅持する

テレビは広告販売、受信料、ペイ・パー・ビュー、ライセンス料などの総収入において、あらゆるメディアのトップを今年も走り続けるだろう。世界のテレビ人口は4千万人増の37億人に達し、テレビはますます注目されるはずだ。それでもなお、世界人口の半分はテレビメディアに接していないので、将来的にかなりの成長の余地を残しているということになる。

DVRは急増。しかし30秒スポットCMは不滅

2011年の終わりまでに、アメリカとイギリスのテレビ所有者の半分以上が、デジタルビデオレコーダー(DVR)を所有することになるだろう。これらの視聴者はテレビ広告を早送りして見ることができるようになる。しかし、DVRの増加によるテレビ広告への影響は小さいと考えられる。なぜなら、DVR視聴者のほとんどが、テレビ番組の大半を録画せずに、番組表の時間通りに「ライブ」で視聴すると思われるからだ。こうした「ライブ」の番組には、スポーツ、タレントショー、ホームドラマ、リアリティ番組、ニュースなどの視聴者が欠かさずに「毎回見る番組」が大半を占めている。この種の番組は、録画した番組を見る時間をつぶしてでも視聴者は視聴する。また、たとえ視聴者がDVRの広告を早送りしたとしても、視聴者は広告を早送りしながらも、広告を部分的に見ており、視聴者の印象に残っていて、広告が無駄になることはない。

テレビの番組選びは、「プル型」よりも「プッシュ型」

テレビ視聴傾向は、従来どおりの「プッシュ型」。つまり、決められた番組表から選ぶ方法から変わらないだろう。テレビ番組の検索機能を備えた「プル型」のテレビが何百万台と売れたとしても、単にチャンネルを選ぶ以上に、内容を「プルする」視聴者は、まだ例外的と言える。多くの人々にとって、テレビを見ることは受身的な体験であり続ける。視聴者は選択肢があることを喜ぶが、実際はほとんど使わないものだ。この習性は、技術が進歩してもすぐには変わらなさそうだ。

ソーシャルネットワーク広告-伸びは緩やか

ソーシャルネットワークの純会員数は、2011年には10億人を突破すると予測され、それに伴って2兆個以上の広告がソーシャルネット上を流れることになるだろう。しかし、ソーシャルネットワークにおける広告収入は多くはなく、会員1人当たり約4ドル、総収入でも50億ドル未満で、これは、全世界での広告費の1%にも満たない。ソーシャルネットワークの純会員数が10億人になると、世界中のインターネット利用者の半数近くがソーシャルネットワークに登録していることになる。すると、将来の伸びは頭打ちになる可能性がある。

オンライン広告のCPMは値下げ傾向

ソーシャルネットワーク上の広告千回あたりの料金(CPMs)は、2011年には下落し続けて、平均40セント以下になる見込みだ。インターネット上の半分で何兆個もの広告が流れても、ソーシャルネットワークでの広告収入は50億ドルにしかならないだろう。ソーシャルネットワークの広告の安さは、その他のオンライン広告にも悪影響を及ぼすだろう。2010年、アメリカのソーシャルネットワーク以外のオンライン広告のCPMは1ドルから10ドルの間、平均すると2ドル、全体では80億から90億ドルであった。ソーシャルネットワークのCPMの安さはソーシャルネットワークへの広告を増加させるので、その他の広告はCPMの値下げを強いられるだろう。

ゲームはオンライン化で格安に-利用者は増大、でも価格はどうなる?

世界のコンピュータゲームやビデオゲーム産業は、様々な形態を通して収入を得るようになるだろう。例えば、月々の利用料、周辺機器、サービス料、さらに、インゲームショップやフリーツープレイ(F2P)や「フリーミアム」*1市場での広告などである。2012年の終わりまでには、これら比較的新しい形の収入源からの総収入が100億ドルとなり、ゲーム収入の16%を占めるようになるだろう。将来的には業界総収入の50%にまで達する日が来るだろう。こうした新しい収入源が現われることで、業界の成長はより安定し、利益性の高いものになっていくはずだ。また、ゲーム機、ネット、ソーシャルネットワーク、スマートフォン、タブレットなどで、気軽に遊ぶゲーマーが増えることで、ゲーマーの数は急速に伸び続けると考えられる。

流れはライブ-A&R(アーティスト&レパートリー)*2の多様化

ライブミュージック業界は、従来、レコード音楽業界のA&R(アーティスト&レパートリー)部門の仕事であったタレント育成を、自分たち自身で行うようになるだろう。ライブミュージック業界が目指すのは、スタジアムを満席にするような次世代アーティストを見出し、育て、売り出すことである。過去10年間、レコード業界が衰退していく一方で、ライブ業界はA&Rに投資しながら成功の道を辿ってきた。この勢いを失わないよう、これからも新人を発掘し育成しながら業界を活気づけていくだろう。

デジタル配信音楽収入が音楽ソフト収入を上回る-日本ではおまけ付きCDも

少なくともひとつの大市場(アメリカの可能性が高い)において、デジタル音楽配信収入は、CDなどの音楽ソフト収入を上回るだろう。以前から予測されてきたこの変化は、デジタル配信のダウンロードが激増したこともあるが、それ以上にCD売上げが激減したことが原因と考えられる。CD市場の衰退で、小売店のCD棚は年間を通して著しく縮小されることになる。そこで、それに替わる形態として、CDは特定の期間、あるいは、イベントとともに販売されるようになるだろう。2011年の第4四半期には、1,000の「ポップアップ(期間限定の)」ミュージックストアーが生まれ、小規模ながら発展していくニッチ産業として、折々の急需要に応えるであろう。日本でもiTunes Music Storeで音楽を購入するなどの影響で、CDの販売枚数は縮小している。そのため、最近のCDには、ライブ映像や握手券などのおまけ要素を付属して販売している。

*1 フリーミアム
基本的なサービスを無料で提供し、特別な機能は別途料金を課金するビジネスモデル。例えば、オンラインゲームにおいて、基本的には無料であるが、ゲームの登場人物の能力を強化する特別な武器や衣装などを有料とすることをいう。

*2 A&R(アーティスト&レパートリー)
アーティストの発掘とそのアーティストの音楽の制作を担当するレコード会社やプロダクションのプロデューサー。

TMTグループとは

デロイトのTMTグループは急成長するテクノロジー企業を顕彰する「テクノロジーFast50」と「テクノロジーFast500」プログラムを運営しています。TMTグループは世界中のテクノロジー、メディア、テレコミュニケーション分野の企業にサービスしてきた経験豊かなスタッフで構成されています。私たちの顧客はソフトウェア、半導体、ケーブル、メディア、出版、コミュニケーション・プロバイダー、ネットワーキング、ワイヤレス、コンピュータとその周辺機器、それらの関連事業にわたっています。 TMTスペシャリストは、ビジネスが成長して行く各段階でこれらの企業が直面する課題を理解し、成功に向けて支援することをその責務と考えています。デロイトはテクノロジー、メディア、テレコミニケーション企業の各顧客に、戦略面、実務面での支援を提供しています。

トーマツグループとは

トーマツグループは日本におけるデロイト トウシュ トーマツ リミテッド(英国の法令に基づく保証有限責任会社)のメンバーファーム各社(有限責任監査法人トーマツおよび税理士法人トーマツ、ならびにそれぞれの関係会社)の総称です。トーマツグループは日本で最大級のビジネスプロフェッショナルグループのひとつであり、各社がそれぞれの適用法令に従い、監査、税務、コンサルティング、ファイナンシャル アドバイザリーサービス等を提供しております。また、国内約 40 都市に約 7,000 名の専門家(公認会計士、税理士、コンサルタントなど)を擁し、多国籍企業や主要な日本企業をクライアントとしています。詳細はトーマツグループ Web サイト(www.tohmatsu.com)をご覧ください。

Deloitte(デロイト)とは

Deloitte(デロイト)は監査、税務、コンサルティングおよびファイナンシャル アドバイザリーサービスをさまざまな業種の上場・非上場クライアントに提供しています。Deloitte(デロイト)とは、デロイト トウシュ トーマツ リミテッド(英国の法令に基づく保証有限責任会社)およびそのネットワーク組織を構成するメンバーファームのひとつあるいは複数を指します。デロイト トウシュ トーマツ リミテッドおよび各メンバーファームはそれぞれ法的に独立した別個の組織体です。その法的な構成についての詳細は www.tohmatsu.com/deloitte/をご覧ください。