今、必要とされるのは生活者と24時間つながれるアイデア——変わる情報環境とPRビジネスの潮流

消費者の情報収集行動が変化し、ペイドメディア、アーンドメディア、オウンドメディアのトリプルメディアを統合的に活用したコミュニケーション設計が必要とされている今、PRが担う役割が変わりつつある。企業課題の変化に応じて、世界のPRエージェンシーはコミュニケーションビジネスにおいて新たな役割を開拓しようと、その勢いを強めている。米国に本社があり、世界31カ国65都市で展開するPR会社・エデルマンのアジアパシフィック・中東・アフリカ プレジデント&CEOのデイビッド・ブレイン氏に世界のPRビジネスの潮流を聞いた。

——世界の動きを見ると、コミュニケーションビジネスにおけるPRやPRエージェンシーの役割が変化してきているように思うが。

エデルマン アジアパシフィック・中東・アフリカ プレジデント&CEO デイビッド・ブレイン 氏

PRは従来コーポレート・コミュニケーション活動において、重要な役割を果たしてきたが、最近ではプロダクトブランドのマーケティング活動においても、PRの手法や概念が活用されるようになっている。

以前のマーケティングコミュニケーションは電波媒体を使った広告キャンペーンが中心だったが、いつでもネットに接続できるスマートフォンの浸透、それに伴うソーシャルメディアの普及でペイドメディアのみならず、様々な顧客との接点を統合的に活用したコミュニケーションのアイデアが必要とされている。

特に情報過多な時代だけに、ブランドと消費者との接点が作りづらく、いかに「24時間365日つながり続けられるか」という点に企業が価値を見出す傾向にある。エデルマンでは、「Living Brand」という概念を提唱しているが、24時間常につながっていたいと思ってもらえるアイデアが必要とされている。

——こうした環境の中で、PRエージェンシーはどのような点にビジネスチャンスを感じているのか。

24時間常に消費者とつながり続けるためには、消費者のアクションにすぐに反応できること、さらに時事性を盛り込んだ日々の話題をつくるクリエイティブを作る力が必要とされる。前者に関してはもともと、PR会社はリスクマネジメントを得意としてきたので、広告会社よりも強みを発揮できると思う。24時間体制で消費者の反応をモニタリングし、万一リスクとなるようなことが発生すれば、社内にいるCSR、カスタマーセンター、インナーコミュニケーションの専門家が対応できる環境にある。

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