一億総ネット民時代、“なぜか”愛される企業と嫌われる企業の違い

ネット空間におけるコミュニケーションが、世の中に与える影響は年々大きくなっている。同じ情報を発信しても、称賛される企業と叩かれる企業があるのはなぜなのか。そんな「空気」はどのようにつくられるのか。ネット編集者の中川淳一郎氏がひも解く。

ココイチは「なぜか愛される企業」の代表格的な存在

ネットには「なぜか愛される企業」「なぜか嫌われる企業」の2つが存在する。愛されるほうは、何かをしても擁護の声が殺到し、嫌われるほうは、良いことをしても偽善扱いされたりもする。それらの特徴はおいおい見ていくにしても、具体的に最近の事例から見てみよう。企業・人、両方である。

カレーチェーン、CoCo壱番屋(ココイチ)のビーフカツなどを不正転売した産業廃棄物業者「ダイコー」と、同社から商品を購入した食品卸売業「みのりフーズ」の道義的責任を問う声が多数出ている。この件について、ココイチは全面的に支持されている。それは衛生観念がしっかりしているという点を改めて認識させたことと、悪事を行っている企業を明確に非難した点にある。それに加えて重要なのが、普段からのネット上での評判である。

ココイチについては「高い」と文句を言う声はあるものの、ネットの定番企画として「ココイチで全部載せ」をやってみたという企画があるなど、かねてよりいじられキャラが定着している。これは、同チェーンのトッピングをすべてカレーに載せたものを注文するという冗談のような企画である。見栄えは良いし、金額も驚きの9000円超となるため、ネットの伝統芸となっている。

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