大学生を対象にしたマーケティング企画コンテスト「第2回applim」に、前回に引き続き審査員として参加した。学生の発想やプレゼンテーションは前回にも増して素晴らしく、実際に十分通用しそうなものが多数あった。特に、顧客の不満を解消する逆転の発想がいくつも盛り込まれていたことは特筆すべきだろう。詳しくはWebサイトを参照されたい。
その時にも感じたことだが、なんとなく抱いていたある仮説が確証に変わりつつある。それが「見える化(可視化)」である。背景にあるのはインターネット、位置情報とモバイル端末などの技術的な進化といえる。
いま流行っているミニブログ、SNS、位置情報ゲームについて見える化の具体例を挙げてみよう。まずツイッターに代表されるミニブログだが、東海大学の芦田宏直教授によると、流行の理由は「微分された」人格にあるという。例えばブログは有名人の私生活を「見える化」して好評を得ているが、ツイッターはもうひとつハードルが低い脳内のつぶやきを「見える化」することで共感を得られるというのである。ツイッターは文字数に制限があり表現が限られるので、「おなかが減った」とか「○○が好き」などといったその人の情報の一部しか表せない。全部は共感できなくても一部では共感できるので、通常より薄い関係が構築されるのであろう。
ミクシィやフェースブックに代表されるSNSであるが、こちらはソーシャルグラフという友人関係が「見える化」したものといえる。自分の友人がどのようなことをしているかだけでなく、その人がどのような友人関係にあるかまでわかってしまう。ソーシャルアプリなどでは一緒にゲームをしたり、お互いの進捗を確認したりすることなども可能である。そしてソーシャルグラフの開放によってあらゆるシーンで「見える化」が進んでいる。
コロプラ(コロニーな生活プラス)やフォースクエアのような位置情報ゲームは「今、自分がどこにいる」といった情報や「移動距離」を「見える化」したものである。そして、ここの主(Mayor)を「見える化」して競わせるなどゲーム性を保っているのだ。
いずれにせよ、これらの「見える化」には携帯端末が欠かせない、「見える化」は情報が新鮮であればあるほど面白く、共感できるからである。
江端浩人「i(アイ)トレンド」バックナンバー
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