ソーシャルメディアの時代なので、クチコミマーケティングを再考しよう:4

(シカケ)と(シクミ)という公式

クチコミマーケティングを企むにあたって、頭の中に入れておきたい公式が「(シカケ)×(シクミ)」である。(シカケ)とは「人に伝えたくなるネタ・情報」のことであり、(シクミ)とは「人に伝えやすい機能・ツール」のことである。この2つの掛け算がうまく行った場合に、クチコミはうまく拡がりを見せる。この公式に基づいて考えると、クチコミを目論んだ企画がうまくいくかどうかのシミュレーションが行いやすい。

例えば、[A]という企画に触れたときに、

  • 人に伝えたくなる確率が30%(0.3)
  • 人に伝える確率が平均して3人

とする。前者が(シカケ)によるもので、後者が(シクミ)によるもの。この2つを掛け合わせると、

=0.9

という値が出る。クチコミなので、この時拡がった3人にも同じものだとして、次のように掛ける。

0.9 × 0.9 = 0.81

これを続けていって、0.9 → 0.81 → 0.73 → 0.66 → 0.59…… と考える。

一方、[B]という企画の場合、

  • 人に伝えたくなる確率が30%(0.3)
  • 人に伝える確率が平均して4人

だったとする。同様に算出すると、

=1.2

となり、

1.2 × 1.2 = 1.44

となる。これを続けて掛けていくと、1.2 → 1.44 → 1.72 → 2.07 → 2.49…… となる。

さて、[A]と[B]、どちらのほうがクチコミとして拡がりやすいか、わかるだろうか? もちろん後者の[B]である。0.9が続く[A]のほうはだんだんと拡がらなくなってしまうのだ。

この「人に伝えたくなる確率」=(シカケ)による部分、と「人に伝える確率」=(シクミ)による部分、2つでクチコミの企みは構成され、それが非常に分かりやすい公式で表されることがわかってもらえるだろうか。たとえば「人に伝えたくなる確率」が低いものは「人に伝える確率」を上げるために(シカケ)に注力する、とか、ないしは、もっと成功させるために両者の数字をあげるために何をすればいいかについて考えを巡らせる。そして上でいうと、0.9や 1.2 にあたる、「係数」を「1以上にすること」。それがクチコミを企む、ということなのである。(次ページに続く)

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高広 伯彦(スケダチ代表/マーケティングコンサルタント/ユニバーサルプランナー)
高広 伯彦(スケダチ代表/マーケティングコンサルタント/ユニバーサルプランナー)

1996年博報堂入社。その後、博報堂DYメディアパートナーズ、電通で主にイン
タラクティブ・マーケティング領域のビジネス開発や広告主のキャンペーンに携
わる。2005年にグーグル日本法人に入社し、新しい広告のインフラづくりに取り
組む。2009年1月に独立し、「スケダチ 高広伯彦事務所」として活動。広告主の
プランニングやビジネス開発を支援する。

株式会社スケダチ: http://sukedachi.jp/
個人ブログ: http://mediologic.com/weblog/
Twitter: @mediologic, @sukedachi_jp
Facebook: sukedachi

高広 伯彦(スケダチ代表/マーケティングコンサルタント/ユニバーサルプランナー)

1996年博報堂入社。その後、博報堂DYメディアパートナーズ、電通で主にイン
タラクティブ・マーケティング領域のビジネス開発や広告主のキャンペーンに携
わる。2005年にグーグル日本法人に入社し、新しい広告のインフラづくりに取り
組む。2009年1月に独立し、「スケダチ 高広伯彦事務所」として活動。広告主の
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