危機の現場で見え隠れする日本人の脆弱性

ソフトランディングばかりを狙い続ける悪癖を是正せよ

最近、マスコミ関係者と日本人の危機管理能力について議論した。欧米人と日本人の本質的違いはどんなものか、意外にも議論は白熱した展開となった。

日本人はそもそも学校教育で意見をはっきりと主張する教育(ネゴシエーションスキルやプレゼンテーションスキルの専門教育)を受けていない。それはある意味プロフェッショナルスキルだが、その技術がなくても十分社会にとけ込めるため、あえてその技術は無視され続けている。さらに、“outstanding interpersonal skills with any different types of people”(誰とでも仲良くやっていける技量)があれば日本では出世できる社会構造に問題があると言える。

日本では「みんなで渡れば怖くない」が評価される文化。欧米では道を渡るにも“Please walk at your own responsibility.”と記載され、信号があっても最終的には自分の責任で渡れと示されている。

コーポレートガバナンス(相互監視)は形骸化。そもそも創業家一族によるオーナー支配の役員会(オーナーと経営が同一)には相互監視は形式的で、欧米のDirectors(オーナー)によるOfficers(雇われ経営者)に対する厳しい監視制度とは別構造。日本ではオーナーを中心に番頭がしっかり脇を固める経営構造。従って、誰もオーナー経営者の本質的問題を指摘しない。

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白井 邦芳(危機管理コンサルタント/社会情報大学院大学 教授)
白井 邦芳(危機管理コンサルタント/社会情報大学院大学 教授)

ゼウス・コンサルティング代表取締役社長(現職)。1981年、早稲田大学教育学部を卒業後、AIU保険会社に入社。数度の米国研修・滞在を経て、企業不祥事、役員訴訟、異物混入、情報漏えい、テロ等の危機管理コンサルティング、災害対策、事業継続支援に多数関わる。2003年AIGリスクコンサルティング首席コンサルタント、2008年AIGコーポレートソリューションズ常務執行役員。AIGグループのBCPオフィサー及びRapid Response Team(緊急事態対応チーム)の危機管理担当役員を経て現在に至る。これまでに手がけた事例は2700件以上にのぼる。文部科学省 独立行政法人科学技術振興機構 「安全安心」研究開発領域追跡評価委員(社会心理学及びリスクマネジメント分野主査:2011年)。事業構想大学院大学客員教授(2017年-2018年)。日本広報学会会員、一般社団法人GBL研究所会員、日本法科学技術学会会員、経営戦略研究所講師。

白井 邦芳(危機管理コンサルタント/社会情報大学院大学 教授)

ゼウス・コンサルティング代表取締役社長(現職)。1981年、早稲田大学教育学部を卒業後、AIU保険会社に入社。数度の米国研修・滞在を経て、企業不祥事、役員訴訟、異物混入、情報漏えい、テロ等の危機管理コンサルティング、災害対策、事業継続支援に多数関わる。2003年AIGリスクコンサルティング首席コンサルタント、2008年AIGコーポレートソリューションズ常務執行役員。AIGグループのBCPオフィサー及びRapid Response Team(緊急事態対応チーム)の危機管理担当役員を経て現在に至る。これまでに手がけた事例は2700件以上にのぼる。文部科学省 独立行政法人科学技術振興機構 「安全安心」研究開発領域追跡評価委員(社会心理学及びリスクマネジメント分野主査:2011年)。事業構想大学院大学客員教授(2017年-2018年)。日本広報学会会員、一般社団法人GBL研究所会員、日本法科学技術学会会員、経営戦略研究所講師。

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