世は時短時代である。洗剤は「すすぎ1回」がウケて、「アタックネオ」をはじめとしたコンパクト液体洗剤が売れている。掃除だってお掃除ロボット「ルンバ」にお任せだ。では、あとはどの時間が切り詰められるだろうか。そこで、「食事の時間」に目を付けたのがタカラトミーアーツの「スマート飯(SMARTHAN)」の登場である。
「食事の時間ぐらいゆっくり取りたい!」と思うのが人情であるが、とかくこの世はままならぬ。仕事に追われ、資料の提出時間が迫ってきているときには、自席でコンビニのおにぎりなどを食べて済ませてしまうビジネスパーソンも数多い。それどころか、移動中に「ウイダーinゼリー」などで空腹を紛らわせることもある。味気ないことこの上ないが、現代は「ながら食べ時代」でもあるのだ。
その時代の要請を受けてヒットした前例もある。エースコックの「JANJANソース焼きそば」だ。「平型パッケージが主流のカップ焼そば市場に新機軸タテ型パッケージを投入する」という開発コンセプトも、従来型がデスク上で場所を取り、「ながら食べができない」という消費者のニーズギャップを捉えた結果、生み出されたものである。
「スマート飯(SMARTHAN)」は、「自分の好きなモノをじっくり食べる」という理想的な状態と、「市販のモノをながら食べする」という現実のギャップを埋めるべく開発された。「ご飯と自分の好きな具材を詰めて、ながら食べができる」という実現方法がその解だ。
「それなら自分でおにぎりを握ればいいんじゃないか?」と思った人。まだ甘い。忙しい朝にアツアツのご飯を握ってラップにくるんで…という作業はなかなかに面倒で時間がかかる。「忙しい朝に手間をかけたくない」という新たなニーズギャップが出現する。そこで、「スマート飯(SMARTHAN)」だ。熱いご飯も容器にスプーンですくって入れるだけ。具材を挟んで出来上がりという手軽さが、ニーズギャップを解消し、朝の時短も実現してくれる。
ヒットの芽を見つけるには、まずは「ニーズギャップ」に注目することが基本だ。「消費者のニーズが見えない」と嘆く声も多く聞かれる。そんな時には、理想とする状態と現実のギャップに注目するのだ。そこにニーズはある。
第2回「何より大事なピッタリ感…『ポスト・イット® 手帳用製品 ポータブルシリーズ』」はこちら
金森努「あの商品、このサービスがヒットするワケ」バックナンバー
- 第3回「誰が、なぜ飲んだ?1億本:メッツコーラに学ぶ」(11/06)
- 第2回 「何より大事なピッタリ感…『ポスト・イット® 手帳用製品 ポータブルシリーズ』」(10/23)
- 第1回 「とかくこの世は忙しい…『スマート飯(SMARTHAN)』」(10/9)(こちらの記事です。)
「あの商品、このサービスがヒットするワケ」バックナンバー
- 「顧客視点」に始まる婦人服ブランド「kay me」の躍進(2013/4/02)
- 「損して得取れ」の「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ」(2013/3/19)
- 「リプトン イエローラベル」のリーダー的PR戦略(2013/3/05)
- 心の平穏、3000円也。:大丸松坂屋の有料接客サービス(2013/2/19)
- 「JINS PC(パソコン用メガネ)はナゼ売れたのか?JINSの花粉防止用メガネは売れるのか?」(2013/2/05)
- 「顧客視点に脱皮した化粧品売り場:イセタン ミラー」(2013/1/22)
- 「羽化」を狙うパイロットの万年筆「コクーン」(2013/1/08)
- 1点集中で強みを発揮、「YOSOOU(粧う)のダウンウェア」(2012/12/04)
新着CM
-
クリエイティブ
お米・人・製品への愛を表現、賀来健人をキャラクターに『亀田の柿の種』の新キャンペ...
-
マーケティング
味の素「丸鶏がらスープ」ロゴを商標登録 広告出稿やブランド想起など決め手に
-
クリエイティブ
「未来を拓くニッポン・デザイン展」5月17日~19日開催 OAC50周年事業で
-
AD
広告ビジネス・メディア
生成AIを活用したチャットボット「DMMチャットブーストCV」の可能性
-
販売促進
AIが考案した「抹茶」入りビール販売 ブルワリーの個性を学習
-
広告ビジネス・メディア
「そこに行き交う人」とセットで広告は完成する ゼクシィの周年メッセージから見るO...
-
特集
はじめに/あとがき/解説でざっくりわかる 宣伝会議のこの本、どんな本?
-
販売促進
「賛否両論」の評価をあえてアピール 「アサヒ颯」の新戦略、アサヒ飲料
-
広告ビジネス・メディア
ただのコラボで終わらない仕掛けの数々 「コアラのマーチ×フランク ミュラー」の企...