レアメタルの確保へ、小型家電リサイクル法がスタート

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「違法な不用品回収業者に騙されないで」環境省が呼びかけ

4月19日、環境適正推進協会主催の平成25年度第1回勉強会が開催され、経済産業省と環境省がリサイクル法の改正に伴う3Rの推進に向けた課題や取組みについて講演した。

環境適正推進協会は、廃棄物の排出事業者と処理業者双方に対して、正しい廃棄物処理の提案をしている一般社団法人。従来、排出事業者と処理業者が廃棄物対策を一緒に行う業界団体はなかったが、同協会では、排出側と処理側が一緒に廃棄物について学ぶことにより、適正処理の推進を目指す。

19日の勉強会では、4月1日にスタートした小型家電リサイクル法(正式名:使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律)を中心に、各種リサイクル法の枠組みや先進事例に関する講演が行われた。経済産業省からは国境を越えた資源循環も含めた3Rの方針について、環境省からは実際に起きた不適正な事案に基づき、防止のための取組みが示された。

回収率アップにはユーザーの協力が不可欠

経済産業省の瀧屋直樹氏(産業技術環境局リサイクル推進課企画三係長)は、循環型社会基本法の成立以降の循環資源の活用情報について報告。排出事業者と処理業者双方の取り組みにより、平成12年をピークに廃棄物の排出量が減少していること、最終処分場の残余年数が増えていることなどに触れた。

廃棄物の排出量の減少に大きく寄与しているのが、容器包装リサイクル法、家電リサイクル法、自動車リサイクル法、建設リサイクル法、食品リサイクル法、そして、排出事業者を対象に、3R(リデュース・リユース・リサイクル)を計画的に推進することを規定した「資源有効利用促進法」である。

今年4月、これに小型家電リサイクル法が加わった。この法律では、携帯電話やデジタルカメラ、ゲーム機、電話機やファクスなどさまざまな小型家電製品がリサイクルの対象となる。自治体や認定業者が回収し、その中に含まれるベースメタル(鉄や銅など)、レアメタル(金、銀、リチウム、プラチナなど)などをリサイクルするのが目的だ。

2001年4月から始まり、すでに多くの市民にも馴染みのある「家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)では、テレビ、エアコン、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・乾燥機の大型家電4品目だけが対象。回収するのは小売り業者で、リサイクルはメーカーが行っている。

これに対して、小型家電リサイクル法は、自治体(市町村)が回収して認定事業者がリサイクルを行う。対象品目や回収の方法、回収にかかる消費者の費用負担などは自治体によって異なる。2013年4月時点ですべての自治体が一斉にスタートするわけではなく、準備の整った自治体から開始される。今後、レアメタルの回収率を高めていくためには、個人ユーザーの理解と協力が不可欠となる。

違法な不用品回収業者に騙されないよう、市民への啓発が不可欠

環境省の眼目佳秀(さっか・よしひで)氏(廃棄物・リサイクル対策部リサイクル推進室室長補佐)は、家電製品のフロー推計などとともに、違法な不用品回収の現状について報告するとともに、3月19日に通知した「使用済み家電製品の廃棄物該当性の判断」について解説した。

これまで、家電製品等が有価で取引される場合、「中古品であって廃棄物ではない」とし、廃棄物処理法の対象ではないとの解釈に基づき、不適正な処理が行われるケースが見られた。しかし、廃棄物に該当するか否かについては、(1)その物の性状、(2)排出の状況、(3)通常の取り扱い形態、(4)取引価値の有無、(5)占有者の意思等から総合的に判断されるという見解を示した。

さらに、昨年から今年にかけて発生したおもな不適正な事例を紹介。自治体による指導や警察による捜査事例、さらに、今年4月に入ってからは家電無料回収業者が逮捕され、大手紙に報道された事件についても触れた。

違法な事業者による不適正な処理により、エアコンや洗濯機からのフロンの大気中への放出、保管場所での火災等といった問題が起きている。現在、環境省や各自治体ではチラシやポスターの配布、啓発活動等により、市民が違法な不用品回収業者に騙されないように呼びかけている。

同勉強会では、東金属による金属リサイクルの再資源化率向上の取り組みや、富士通テンによるドライブレコーダーを使った取り組み、埼玉県の中山正樹氏(環境部産業廃棄物指導課)による不適正処理に関する指導の状況も報告され、参加者と講師との活発な意見交換が行われた。資源の有効活用を一層推し進めていくためには、排出事業者と処理業者の垣根を越えた取り組みが不可欠だ。さらに、小型家電のリサイクルにはユーザーの意識向上が不可欠となるため、今後は、生活者に向けた情報発信にも期待が寄せられる。

『環境会議2013年春号』
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