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コラム

宣伝会議 インターネットフォーラム 2013

「IMC3.0」の概念を具現化 コンシューマーの日常に入り込む――日本コカ・コーラ

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宣伝会議は、6月5日に東京・港区のANAインターコンチネンタルホテル東京で、「宣伝会議インターネットフォーラム2013」を開催しました。WEB・デジタルテクノロジーの発展と、それに伴って大きく変わりつつあるメディア環境や消費者行動をとらえ、企業コミュニケーションの未来と、そこでのデジタルの活用可能性を探る同イベント。今回の来場者数は、前回の2591人を大きく上回る3521人にのぼりました。
幅広い業種・業態の企業でデジタルマーケティングに取り組む責任者・担当者が登壇した講演はもちろん、そうした企業の取り組みをサポートするツールや技術を紹介する展示にも多くの人がつめかけ、会場全体が熱気に包まれました。ここでは編集部が特に注目した講演にスポットを当て、そのレポートをご紹介します。

講演者:鈴木祥子(日本コカ・コーラ マーケティング&ニュービジネス IMC 副社長)

「ブランドがファンをつくる時代から、ファンがファンをつくる時代へ。O・E・S・Pメディア時代の今、『コカ・コーラ』のコミュニケーションでは、ターゲットが日常生活においてもっともよく接触するソーシャルとスマートフォンを軸に、彼らの会話の中に入っていくことを重視している。施策を考える際に特に意識しているのは、(1)パッションポイント、(2)自分ごと化、(3)リアルストーリーの3つの観点」と日本コカ・コーラの鈴木祥子氏。

※O・E・S・P=Owned・Earned・Shared・Paid

生活者と生活者、そして生活者と企業がソーシャルメディアでつながり合う現在。同社は「IMC3.0」のもと、自社のさまざまなコミュニケーション資産を活用し、あらゆる生活者接点においてリアルで共感できるブランド体験を提供して、友人同士でシェアしてもらうことを意識している。

(1)のパッションポイントを意識した取り組みとして鈴木氏は、3月にスタートした「思い出のそばにはコカ・コーラと音楽がある」キャンペーンを紹介。「コカ・コーラ」のペットボトルのラベルに年号が印刷されており、その年にヒットした楽曲10曲をコカ・コーラの公式サイト上で聴くことができるというもので、若年層のパッションポイントである「音楽」をテーマとした企画だ。3~4月の導入期はティーンメディアとのタイアップやOOH、テレビCMなど、ペイドメディアで広いリーチ獲得と認知拡大を図った。ソーシャルメディアも積極的に活用し、LINEでは公式アカウントの登録者500万人にメッセージを配信。さらにLINEの公式アバターサービス「LINE Play」で、オリジナルの部屋・アイテム・アバターを作成し、遊びながらの深いブランド体験を提供し、友人間の情報拡散を狙った。

ポイントは、これまで施策の実施後に行っていた「AAR(After ActionReview)」に加え、ソーシャル上での会話の分析に基づき、「DAR(During Action Review)」を行ったこと。「導入期にソーシャルリスニングに基づく分析を行ったところ、パッケージへの反応は高いものの、音楽への言及が少ないことが分かった。そこで、サイトにコメント機能を追加し、音楽との関連性を高め、スケール感を“可視化”するよう軌道修正した」と鈴木氏。キャンペーン開始からこれまでの視聴人数は120万人以上、シェア件数は3万件を超え、ストリーミングはのべ7000曲にのぼるという。

(2)の自分ごと化を意識した取り組みとして紹介したのは、「爽健美茶」の発売20周年を記念して4~5月に実施した「爽健美茶 国民投票」。素材を一新した新製品を4月1日に発売し、5月5日までの期間限定で従来製品と併売。どちらが好きかネット上で投票できる仕組みをつくり、6月以降、得票が多かったほうのみを販売するという企画だ。ヤフートップページでの告知やLINEオリジナルスタンプなどで話題化を図ったほか、投票サイトではSNS上の声や投票状況をリアルタイムで可視化。投票者の在住都道府県、性別、職業ごとに結果を表示する機能も搭載し、ユーザーに自分ごととして参加してもらえるよう工夫した。

(3)のリアルストーリーを意識した取り組みとしては、「アクエリアス」の今年のコミュニケーション展開を紹介。コンセプトを「NEW YOU.」とし、チャレンジするすべての人を応援するWEBサイト「アクエリアス チャレンジャーズ パーク」を開設。一般のシニア女性が25メートルを泳げるようになるまでの過程を記録した長尺CMや、ブロガーが“NEW YOU”になるための目標に挑むプロセスをSNSやブログを通して発信する「チャレンジダイアリー」など、生活者に新しくチャレンジすることを促し、サポートするコンテンツを多数用意している。

「生活者が変われば、企業・ブランドも『何を伝えるか』『どう伝えるか』を変化させなければならない。単なる飲料メーカーではなく、消費者が前向きになる瞬間に、今後も深く関わっていく存在でありたい」(鈴木氏)と話した。


「これからのマーケティングに求められること」
をテーマに、コメントをいただきました。


「生活者の視点で毎日生活し、
感動すること」


【修正履歴】
2013/07/05 本文中に誤植がございましたので訂正致しました。