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コラム

CSR視点で広報を考える

アベノミクスの功罪、株主による経営監視は弱体化の様相

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意外に静かだった株主総会

上場企業の株主総会ピーク期間が終了した。筆者は6つの株主総会に参加し、そのうち3社の総会質疑回答集を作成支援した。質疑回答事例は少ない会社でも数百問、多いところでは1000問を超えた。しかし、その企業努力も、実際の総会では肩透かしに終わった。

アベノミクスの効果は絶大で、多くの企業が財務基盤を回復させ、すべりこみで総会において良い結果を報告できた経営者も多い。一方で、そうした恩恵にあずかれず、依然として業績を低迷させてしまった企業もある。そのような会社は、株主総会でも株主の厳しい声にさらされた経営者もいた。

筆者が参加した株主総会もどちらかといえば後者の会社に属するものだったが、意外にも淡々と総会は進行した。本来、関心を呼ぶ議案が色々あったにもかかわらず、株主の多くが業績低迷に対する追求と、どう今後財務状況を回復させていくかの方策に集中していた。しかも、厳しい質問が出されても、二の矢、三の矢が出ず、ひとまず聞いてみた、といった雰囲気に終始していた。

残念ながら、ここ数年、株主総会では「業績関連」「経営関連」事項に対する質問が約60%程度集中し、さらに「配当などの株主還元関連」と続いて、内部統制系の質問は影を潜めている。

世の常として、会社の業績が低迷し、経営基盤が弱体化したときに、不祥事は発生しやすい。オリンパス事件などの不正会計事件などもそのようなときに発生した。株主は、会社が経営的に不安定な状況においてこそ、適正なコーポレートガバナンスや内部統制システムが実効されているかどうかの検証の目を強化していかなければならないが、今年の株主総会における状況は、アベノミクス効果が自身の持つ株式に反映されないむなしさに怒りを覚える声が総会会場に鳴り響くばかりで、本来の株主としての機能が果たされているとは思えなかった。

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