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30~40代男性を豆腐売り場に向かわせた「ザクとうふ」とは?――相模屋食料

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最初から最後まで、個人の趣味で突き通した商品

相模屋食料

相模屋食料株式会社 代表取締役社長 鳥越淳司 氏

ザクとうふの取材を受ける中で一番多い質問は「なんで作ったんですか」というものです。みなさん、マーケットの活性化を狙って新しい可能性を見いだすため、販売数量を上げるためなど、いろいろ指摘なさいますが、理由はシンプルで、「私がガンダムが好きだから」ということだけです。

きっかけは、2010年の8月にガンプラ(ガンダムのプラモデル)30周年のイベントが開催されました。そこに並ぶ全日空や日清食品とのコレボレーション商品を見て、ふと「私にもできるかも」と思ったのがきっかけです。

どこかから提案されて、プロモーションが、という流れではなく、私ひとりの思いから始まりました。

また、「なぜザクなのか」もよく聞かれます。ガンダムといえば、まずガンダムかシャア専用のものを鉄板として考えます。ですが、ザクとおとうふにはいろいろな共通点があります。

まずは、お互いに名脇役であること。ザクはガンダムシリーズの名脇役ですし、おとうふは食卓の名脇役です。

そして、一番大きかったのは、ザクもおとうふも「量産型」であるということです。そうしたこともあって、おとうふであるなら、ザクでなければならなかったのです。

「ザクとうふが実現した3つの『初』」

ターゲット層としては、30~40代のガンダムのファン層、間違いなくおとうふに興味のない、売り場に能動的に行かない層です。

売り出す切り口としては、「ビールのおつまみ」です。おつまみといえば、枝豆と冷や奴が人気なので、枝豆風味の冷や奴になり、たまたまザクと一緒の色になったわけです。

これは私にとって「魂のとうふ」ですから、細部にまでこだわりました。

パッケージのモノアイ(目の部分)を手貼りにしたこと、パッケージ裏のフイルムに名台詞を入れたことや、ジオラマレシピを作り、さらに、装備をつけたいということで、ザクの武器であるヒートホークの形をしたスプーンを数量限定でノベルティとしてつけました。

マスコミに来てもらった発売記念発表会も、プロモーションのためにやったわけではありません。何がしたかったかというと、シャア役の声優、池田秀一さんに会いたくて、イベントで池田さんに「相模屋」と言ってもらうことを夢見てやりました。

そんな状況のなかで、まず反応があったのはソーシャルメディアです。自然に拡散されていったものがマスコミに取り上げられるようになりました。流れとしては、ソーシャルメディアからマスメディアに広がったという感じです。

このザクとうふでは、3つの「初」が実現しました。

1つ目は、初めて30代、40代のおとうふに普段興味のなかった男性が売り場に殺到したこと。

2つ目は、30代、40代の男性が、初めて何もつけずにおとうふを丸ごと一丁食べて「おいしい」というコメントを残す素晴らしい商品になりました。何もつけずに、本来の味を楽しんでもらえる初めての機会となりました。

3つ目が「老若男女、誰でも食べられなければいけない」という、ある意味ターゲットを固定しない豆腐業界市場において、「30~40代男性」と初めてターゲットを絞ってヒットした商品になりました。

その後、第2弾で「鍋用!ズゴックとうふ」、第3弾で「ビグ・ザムとうふ」と続いていますが、共通しているのが「ガンダムを知らない人でもわかるように」という親切設計が一切ないこと。知らない人にとっては全く興味が無いけれど、知っている人にとっては非常に刺さるものであることです。

また、個人的な趣味によるこだわりだったので、プロモーションとしての仕掛け感のなさや、「こうやったら売れる」というあざとさが無かった。そうではなく、ファンが主体となって盛り上がり、広げてくださったことがヒットの要因だったのではと考えています。


(次回予告)
次回はモブキャストです

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