コラム

宣伝会議サミット 2013

メリハリのある予算配分で「起爆剤」を仕込む――キヤノンマーケティングジャパン

share

想いを載せる、想いに乗せるキャンペーン~キヤノンデジタル一眼レフカメラEOS70編~

キヤノンマーケティングジャパン コミュニケーション本部 宣伝企画部 部長 中村 博氏

90年代末からの10年間で爆発的な成長を遂げ、2008年には累積出荷台数が1億台を突破、2兆円規模の一大マーケットとなったデジタルカメラ市場。

しかし2010年をピークに、台数ベース・金額ベースともに下降傾向が続いており、業界各社は岐路に立たされている。その要因の一つには、スマートフォンの急速な普及がある。

出荷台数は世界で7億台を突破(2012年、IDC調べ)し、国内の普及率は約28%(日経BPコンサルティング調べ)。競合は同じカテゴリーの商品だけではなくなっている。

しかし、「スマートフォンの台頭がもたらしたのは、マイナス効果だけではない」と中村氏。「カメラが日常においてより身近なものとなり、若年層の女性という新たな客層が生まれたのは、スマートフォンの普及によるところが大きい。一眼レフを首から提げた『カメラ女子』は数年前では考えられなかったし、『ボケ味』などの専門用語も一般的になった。

近年では一眼レフカメラの売上が伸びるなど、高付加価値商品へとニーズがシフトしてきている」(中村氏)。こうした状況を受けて、近年ではエントリー層ではなく、ワンランク上のよりクオリティの高い写真撮影を求めるステップアップ層をターゲットとし、コミュニケーション戦略を展開している。

キヤノンマーケティングジャパンは、広告・コミュニケーション施策を企画する際のポイントとして①factをわかりやすく伝える、②contextを中心にコンテンツを作る、③surpriseを織り込む、の3つを掲げている。

「ブランド広告」「商品広告」と分けるのではなく、マーケティング統括会社として、「販促のための広告が、結果的にブランドを構築していくことにつながる」という状態を目指している。

この方針のもと、2013年8月末に発売したデジタル一眼レフカメラ「EOS70」のコミュニケーションにおいて選んだ手法は、「ロードブロッキング」。俳優の妻夫木聡を起用した新テレビCM「The Wind」篇の60秒版を、全国108局で一斉放送したのだ。

「社内からは懐疑的な声もあがった。費用対効果の確証が最初からあったわけではないが、最終的に宣伝、広報、WEBマネジメント部門が一体となって、成果のあるものにしようと決まった」と中村氏。

効果を最大化するため、WEB、新聞、ラジオ、BS地上波と、さまざまなメディアで告知を行った。また、CMと連動したクイズ企画も実施したところ、応募は3週間で約2万件、キャンペーンサイトへの誘導は31万セッションを超えた。

一連のプロモーションを通じて、シェアを大きく拡大し、他社をリードすることに成功した同社。「予算配分にメリハリをつけ、戦略的にプランニングすることが効果的。

今回はロードブロッキングという手法を採ったが、常に『どんな起爆剤を仕込むのか』を重視している」と話した。

Follow Us