コミュニケーション創発サイト「あしたのコミュニティーラボ」~SEの現場から自社メディア化への挑戦~
富士通 インテグレーションサービス部門 あしたのコミュニティーラボ代表 柴崎辰彦
富士通 インテグレーションサービス部門 あしたのコミュニティーラボ代表 柴崎辰彦
長くCRMビジネスに携わってきた経験を活かして「サービスサイエンス」の検証を行いながら、総務省「ICTコトづくり検討会」のメンバーとしても活動してきた柴崎辰彦氏。同社のシステムエンジニア(SE)の戦略企画を手がけるなかで、また日本の将来を考えるなかで重要な視点として、同氏は「モノからコトへ」の転換をあげた。
背景には、あらゆる市場で進むコモディティ化や、共創(コ・クリエーション)への注目の高まり、消費者の価値観・ライフスタイルの変化、共有(シェア)の文化の浸透など、企業・個人・社会におけるさまざまな変化がある。
「『モノづくり』がThing(物)を対象とするのに対して、「コトづくり」はEvent(出来事)を対象とする。つまり、製品やサービスを売るのではなく、体験や経験を売るということ。たとえば、音楽プレイヤーとしてのiPodは単なるモノだが、iTunesと連携させることでシームレスな音楽体験を提供する『コトづくり』を実現している」(柴崎氏)。
「モノづくり」は企業の論理が優先されやすい一方で、「コトづくり」は社会的な意味・関係性を重視し、そこではユーザー参加型の形がとられやすいことも特徴だという。
企業がいかに「コトづくり」を実現していくか。そこで柴崎氏が注目するのが「オープン・サービス・イノベーション」だ。
これは、(1)サービス視点で物事を考えること、(2)生活者と共創すること、(3)ビジネス・エコシステムの中で、他社やさまざまなステークホルダーとともにサービスを考えること、(4)ビジネスモデルの変換(モノを売るビジネスから、コトを利用してもらうビジネスへ)の4要素を満たす、新しいビジネスを生み出すための方法論。
柴崎氏は、その実現に向けた具体的な取り組みのひとつとして、コミュニケーション創発サイト「あしたのコミュニティーラボ」を紹介した。富士通の社員と社外の個人・有識者のコミュニケーションを創発する場を提供し、社内外の人々の共創をアシストする目的で、2012年4月に開設した同サイト。
「グローバル17万人の社員のうち、2万7000人が国内のソリューションを生み出すSE。彼らを社外の人とつなげることで、新しいイノベーションを起こせるのではと考えた」(柴崎氏)。サイトでは、学び、働き方、地域、ものづくり、農業、高齢社会、健康など、豊かな社会の実現につながる多様なテーマでディスカッションを行っているほか、有識者へのインタビュー記事やソーシャルグッドの事例紹介も掲載している。
サイトからスピンアウトしたリアルイベントも積極的に企画・実施しており、オープンイノベーションの実現に向けた交流・体験・実践に取り組んでいる。
「目指しているのは、イノベーション・マーケティングの実現。将来的には、ここで生まれた『コト』をソリューションとして提供していけたら」と話した。
「宣伝会議サミット 2013」バックナンバー
- 業界6位企業が、10年後を見据えた「サービス」で勝つ――アクサ生命保険(2013/12/19)
- 新しいファンを獲得するためのパ・リーグのマーケティング戦略(2013/12/13)
- 新聞広告の価値向上のカギは、効果測定とクロスメディア展開の提案――旭化成 山崎真人氏×パナソニック上川内利博氏(2013/12/11)
- ニッチからマスへと導くブランディング戦略――エアウィーヴ(2013/12/10)
- 店舗×WEBでモスならではの1 to 1マーケティングを目指す――モスフードサービス(2013/12/10)
- 生活者×流通×メーカーのトリプルウィンを実現し、しょうゆ市場を活性化――キッコーマン食品(2013/12/10)
- 「お客さまと生涯付き合う覚悟と、地道さ」がLTVの向上につながる――全日本空輸(2013/12/10)
新着CM
-
マーケティング
米・NFLの成長を支える、「ファン セントリック マーケティング戦略」とは?
-
マーケティング (コラム)
『ガラスの仮面』に学ぶマーケターのヒント③「コア・メッセージを考える」篇
-
広告ビジネス メディア (コラム)
執筆経験ゼロの私を本の出版にたどり着かせた3つの突破口
-
販売促進
有楽製菓、Mattさん出演動画第三弾 ブラックサンダー25周年で
-
AD
クリエイティブ
時代の空気感を捉え、ブランドが最も光る瞬間を切り取り表現する — VIA BO,...
-
人事・人物
【人事】電通(2020年1月1日、2月1日付)
-
AD
特集
BRAND STUDIO ミレニアル世代が動く最先端コンテンツマーケティングとは
-
広告ビジネス・メディア
クリエイターを刺激する都市とクリエイティブの未来とは?Vol.4-1 木村健太郎...
-
クリエイティブ
カップヌードル「HUNGRY DAYS」今回の主人公はビビ「ONE PIECE」...