パシフィックリーグマーケティング(株)執行役員マーケティング室長 根岸友喜
メジャーリーグ(以下MLB)の総売上高は約6,000億円を達成している。一方、日本のプロ野球は全12球団併せて推定1,400億円前後。10数年前まで同程度だった売上が4倍以上も差が開いたのはなぜだろうか。
球団の主な収入源は、テレビの放映権や広告などのスポンサー料、入場料、球場内外の物品販売などが占める。全体収益の1/3をリーグ(連盟)で稼ぎ、各球団に分配するMLBに対し、日本は全体収益の大半をリーグではなく各チームが単体で稼ぐ。
差の開いた要因は、この「リーグビジネスの違いにある」とパシフィックリーグマーケティング(以下PLM)の根岸友喜氏は指摘する。では、日本のプロ野球もMLBに倣ったシステムに移行すればいいと思うが、簡単にはいかない複雑な事情を抱えている。
たとえば、同一リーグで競合がある親会社の事業領域、セ・パの歩んできた歴史の違いなど。日本プロ野球ビジネス最大の課題はここにあり、改善が求められている。
娯楽の多様化によるテレビ離れなど、減少傾向にあるプロ野球ファンの獲得も急務の課題だ。根岸氏はパ・リーグの事例を3つのセグメントに分けて紹介した。
(1)来場者の来場回数をあげる、(2)非来場者ファンを来場させる、(3)興味のない人をファンにさせる。
具体的には、来場者数の落ち込む日曜日に、年6回先着7,000人限定で選手フィギュアのプレゼント企画を実施し、年間18,000人増を見込んだほか、往年のユニフォームで試合する「レジェンド・シリーズ」を企画し、同世代間・親子間の体験共有を図った。
人気ゆるキャラ、くまモンとタイアップしたグッズ展開や、野球に興味のない女性向けにK-POPアーティストをゲストに招いたりもした。
「華やかなプロ野球の舞台裏でビジネスがどう動いているのか。野球に対して改めて違う見方をしてもらえるとうれしい。」と根岸氏は話す。
PLMでは今後、さらに新しいファンを獲得するためのマーケット拡大を狙い、台湾や韓国といったアジア市場に向けた取り組みやデジタルマーケティングにも注力し、企画を進めていく考えだ。
「宣伝会議サミット 2013」バックナンバー
- 業界6位企業が、10年後を見据えた「サービス」で勝つ――アクサ生命保険(2013/12/19)
- 「モノからコトへ」。その変化に企業はどう対応するか――富士通(2013/12/16)
- 新聞広告の価値向上のカギは、効果測定とクロスメディア展開の提案――旭化成 山崎真人氏×パナソニック上川内利博氏(2013/12/11)
- ニッチからマスへと導くブランディング戦略――エアウィーヴ(2013/12/10)
- 店舗×WEBでモスならではの1 to 1マーケティングを目指す――モスフードサービス(2013/12/10)
- 生活者×流通×メーカーのトリプルウィンを実現し、しょうゆ市場を活性化――キッコーマン食品(2013/12/10)
- 「お客さまと生涯付き合う覚悟と、地道さ」がLTVの向上につながる――全日本空輸(2013/12/10)
新着CM
-
販売促進
宅配・持ち帰り事業部を廃⽌ ぐるなび、スマホ注文に注力
-
AD
チーターデジタル
改正個人情報保護法がデジタルマーケティングに与える影響とこれからのCRM戦略
-
クリエイティブ
ハンカチーフ専門店で、「東京」をテーマにしたタイポグラフィハンカチとZINEの展...
-
AD
広告ビジネス・メディア
CV172%に急伸したビズメイツ サイバーエースが支援
-
販売促進
販促コンペを社員のスキルアップに活用 プランニング力向上で若手、女性の活躍促進
-
人事・人物
【人事】電通(2022年6月24日付)
-
販売促進
南海電鉄、eスポーツ事業部設置 施設・大会運営を本格化
-
販売促進
百貨店、4月の売上高は前年比19.0%増 高額品の伸長続く
-
AD
特集
富士通デザインセンター 伝統と革新が共存する新たな挑戦