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コラム

Jリーグ、アジア進出をめざす

住友商事がJ2・コンサドーレ札幌のスポンサーになったわけ――Jリーグのアジアビジネスのこれから

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大手商社がスポンサー契約&首脳会談の席でも…


コンサドーレのサポーターがレコンビン選手を大歓迎。この写真がベトナム中に拡散され、
北海道やコンサドーレに関する好感度を飛躍的に向上させた。

こうした効果を背景に、ベトナムでさまざまな事業を展開する大手商社の住友商事が、2013年10月にコンサドーレとスポンサー契約を締結。ホームゲームにベトナム語の看板を掲出するに至りました。

住友商事がベトナムで進めるメディア事業の促進や、出資している鉄鋼会社との関係をより良くするための戦略のひとつとしてのスポンサー契約。大手商社が、アジアにおけるマーケティングを目的に地方クラブとスポンサー契約をするのは、Jリーグ始まって以来、初めてのことです。

そしてこれは間違いなく、レコンビン選手がいたからこそ実現したものでした。

このようにサッカーを通じて、ベトナムと北海道・札幌との距離が近づき、それを象徴する出来事もいくつか見られました。たとえば、10月に安倍首相がベトナムのサン国家主席と会談した際、冒頭でレコンビン選手の話題を出し、以降の会談をスムーズに進めることに活用。

また、衆議院の経済産業委員会でもJリーグやコンサドーレのアジアにおける活動が事例として紹介され、「ASEANでの経済活動を活性化させるために、Jリーグはじめスポーツを活用すべきでは」という答弁まで出てきました。サッカー界、スポーツ界に留まらない、さまざまな効果が表れてきています。

11月中旬には、ホーチミンでコンサドーレの試合のパブリックビューイングが行われ、多くのベトナム人が観戦しました。翌日は、北海道から政財界のキーマン約80人がベトナムを訪問し、新たなビジネス展開を発表するなど、レコンビン選手加入から4カ月ほどの間に、北海道とベトナム間でのビジネス面も大きく動きはじめました。

この訪問に同行していた北海道庁の職員は「以前はタイに目が向いていたが、レコンビンが来たことで、ベトナムに対する心理的な距離感が近くなり、今回の訪問に至った」と語っていました。

一人の外国籍選手が、地方自治体や地域企業のグローバル化にここまで影響をもたらしたのは、初めてのことでした。また12月に日・ASEAN特別首脳会議が開催された際にも、晩餐会にレコンビンが招待されるなど、アスリートとしてのみならず、外交上の重要な存在になってきています。

このように、経済界や地方行政を巻き込んだ動きはNHKや日本経済新聞などで何回も取り上げられ、J2の地方クラブでも、地域活性化や地域経済発展、企業のビジネスチャンス拡大と、さまざまな領域で役に立つ大きなポテンシャルがあることを示すことができるようになりました。

残念ながら、レコンビン選手は2014シーズンはコンサドーレでプレーしないことになったのですが、コンサドーレは新たなアジア展開を打ち出していくべく、すでに動き出しています。

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