成熟市場でいかに戦うか?――森永乳業、草の根的に広げる組織横断のマーケティング活動

消費者の購買行動が大きく変化する中、いま改めてお客様との向き合い方、マーケティングのあり方を考え直す必要が生まれています。『THE REAL MARKETING―売れ続ける仕組みの本質』の著者であるインテグレート・代表取締役CEOの藤田康人氏と、インテグレートが経営領域のコンサルティングを専門に行うことを目的に設立したitgコンサルティング・代表取締役の上迫滋氏、そして社内を巻き込むマーケティング活動をめざす、森永乳業・寺田文明広告部長の3名が、企業を取り巻く現状の課題、そしてこれからのマーケティングのあり方について議論します。

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目指すは、個対個のコミュニケーション

藤田:

日本の企業ではマーケティングを広告、プロモーションとほぼ同義に捉えているケースが多いと感じています。その中で、寺田さんは「広告部長」という立場にありながら、他部門の人たちも巻き込み、売れ続ける仕組み作りに取り組んでいる方だと思います。なぜ、今のようなお考えに至ったのでしょうか。

森永乳業 広告部長 寺田文明 氏

寺田:

私は技術職として森永乳業に入社し、最初に配属されたのが工場で、その後研究所や商品開発、米国の合併会社のオペレーションなどを経験してきたことなどもあり、広告部にいる今も現場、現物、現実を重視する「3現主義」が染みついていることが影響していると思います。

自ら汗をかかないと、価値は作れないという考えがあって、単に広告を作って流すだけでなく、お客様と直接触れ合うイベントや事業部、研究所、支店の人たちと一緒に作り上げるプロモーションが必要だなと思うのです。

私は2008年の5月に広告部に配属となりましたが、そこでコミュニケーション活動の方針として、

 ①「Message with Emotion」(メッセージを伝えるだけでなく、そこでお客様と感情を伝え合うこと)

 ②お客様の態度変容だけでなく「行動を起こさせること」

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