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コラム

広告、月へ行く。〜宇宙は、もう未来じゃない。

「宇宙談義」Vol.1~宇宙広告の可能性って?

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宇宙ゴミ除去ビジネスと広告の関係

細川:
「宇宙広告」はまさに僕らがやろうとしているわけで。これ以外に、次に宇宙は「これが来るだろう」ということに関して。新しい情報というか、新しい展開はありますか?

岡田:
いままでの宇宙って、G to Bだった(G=政府)。それが、国家予算がそんなにつかないのでB to Bにせざるを得なくなってきた。衛星を打ち上げる、地上局のネットワークを提供する、というようないわばインフラ構築としてのB to Bですね。これが主流というのは、しばらく変わらないと思います。B to Cより圧倒的に多い。ところがこのB to Bに「広告」をはじめとする民間企業が入って行ける時代が来ていると思うんです。

細川:
岡田さんが考えているスペースデブリ(宇宙ゴミ)除去ビジネスもそれにあたるんですね?

岡田:
はい。B to Bビジネスですが、そこにスポンサーや広告が入っていくチャンスは大いにあります。宇宙広告が成り立つと思うんです。

細川:
スペースデブリ除去について、ちょっと補足すると、億を超えるスペースデブリが地球の周りを秒速8kmという超高速で飛び回ってるんですよね?しかもそのゴミ同士がぶつかって加速度的にゴミの数が増え続けている。微小なゴミでもぶつかれば人工衛星なんて破壊されちゃうんですよね。

岡田:
はい。今年に入ってデブリに起因する爆発事故がすでに7回も起きています。去年の例ですと、エクアドルなんて国民みんなの希望を乗せてついに人工衛星を打ち上げるのに成功したんですが、打ち上げからたった1ヶ月でロシアのデブリと衝突して破壊されてしまった。国民の落胆は大きかったと思いますよ。

細川:
早くスペースデブリを除去しなければ、危なくて人類は二度と宇宙に出て行くことができなくなってしまうかもしれないですよね……。

岡田:
スペースデブリは大きさによって除去のしかたがかわってきます。大きいスペースデブリは、ロケット上段や使用が終わった人工衛星やその破片などの大きさ10cmから数メートルのもの。約3万個が地球の周りを秒速8kmの超高速で飛び回っています。かたち、重さ、材質が全部違うので回収するには、特殊なやりかたが必要です。
一方、大きさが1mm未満の小さいデブリは、いかに効率よく掃除機のように回収するかが大事になってきます。
私は微小デブリ除去と中型〜大型デブリ除去の両方を進めています。まず、この小さいデブリを除去するビジネスをスタートさせました。具体的には、デブリをキャッチ・除去するセンサーを搭載した衛星を打ち上げます。デブリをキャッチしたらリアルタイムでその情報を地上に送信する仕組みです。その世界初のデブリ除去衛星に広告を組み込もうと考えています。
たとえば「衛星の名前」は衛星のオーナーが決めていいんですね。ですが、企業名がついた衛星はまだ一個もないんです。いままで官需だったから。でも、企業がオーナーとなれば、例えば「NISSIN ONE」とか「SOFTBANK Ⅱ—A」とか企業が自分たちで名前をつけてもいいんです。

細川:
衛星に企業ロゴを付けることも誰もやってないですよね?

岡田:
宇宙に「色」を持って行くのは大変だから、というのも大きかったと思います。塗料は宇宙空間に持っていくとガスを発生してロケットの機器に悪さをします。ですが今回ポカリのプロジェクトにおいて、我々がアウトガス試験を繰り返しNASAの基準をクリアしたことで、ポカリの色である「青」を宇宙に持って行けることを実証した。欲しい色をオリジナルで作って宇宙広告に使うなんて世界初だと思います。

細川:
これは大きな前進ですよね。色が使えれば衛星に企業ロゴをつけることも可能になる。
あとは、宇宙に出て行く産業とスポンサーの「目的のマッチング」は大事ですね。

岡田:
そうですね。海の温度を計測する衛星だったら、それとマッチングする目的を持った企業と組むのがいいし、僕のデブリを除去する衛星だったら、たとえば宇宙の環境問題だととらえて、それをテーマにキャンペーンを行いたい企業と組むのがいいとか。

細川:
環境問題だと考えればCSR活動になりうる、ということはどの企業でも乗れますね。また、宇宙ゴミを除去することで宇宙への航路を切り開く、と考えれば、ゼネコン、輸送会社、交通関係の企業も乗れるかもしれませんね。

→次回に続く

ドリルのオフィスで行われた対談は2時間近く。宇宙、広告のことをはじめ、さまざまな分野に話題が及んだ。