東浩紀×菅野薫×廣田周作「データベースが支配する世界で広告はどう形を変えるのか?」

ビッグデータ解析で人の心はどれだけ分かるか?

思想家 東 浩紀 氏

東:

データを使った分析の話、表現の話、両方していただきましたけど、僕は人の気持ちはデータそのものでは何も変わらないと考えています。例えば少年犯罪と治安という問題があります。今、治安が悪化しているという不安や、少年が怖いといった意識を持っている人は多い。ただ一方で、少年犯罪が減っていることを示すデータもあります。問題は、データ上はそうでも、治安というものはあいまいで、データでは実証できないことです。相手にしないといけないのは、「治安が悪化している」と考える人の心です。福島の食材の話も同じでしょう。放射能検査をして数値的に大丈夫ですと言っても、人の心は「でも怖い」なんですよ。それを風評被害だと言ったり、科学者たちが「無駄に怖がっている」と切り捨てても事態は解決しない。データが示す客観的な事実と人の心がずれている時に、どうやってそれをつなげていくか? それが本当の意味での広告や、パブリックリレーションなんじゃないか?と最近思っているんです。

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