編集協力:吉村
パッケージは商品の顔。特に小売り店頭で瞬間的に消費者の心をつかむには、パッケージの工夫が欠かせません。しかし商品の中身、質には日夜努力を重ねながらも、それを包むパッケージについては製造コストの一つとして捉え、有効活用できていないケースも多いようです。連載では3回にわたり、企業への信頼を高め、商品の売上を高める、価値を生み出すパッケージ戦略を解説していきます。
1932年に創業。茶袋の製造販売から事業をスタートし、現在はお茶の業界に特化してパッケージ資材の印刷・製造を手掛ける吉村。
連載1回目は茶葉消費量が縮小する中で「パッケージの工夫で、お茶の魅力の伝え方は広がるはず!」とパッケージを軸にしたマーケティングを提唱してきた橋本久美子社長が、パッケージマーケティングの専門家である小川亮氏を訪問。
インタビュアーとなってマーケティング、デザイン戦略の潮流と売上拡大につながるパッケージの考え方について話を聞きます。
橋本:中小規模の企業では、パッケージやデザインはあくまでコストであり、積極的に投資をしたがらない風潮があります。
米国の学者であるルイス・チェスキンが1990年代中頃には、消費者はパッケージに対して抱いた感覚や印象を商品そのものの価値に転移させてしまう「感覚転移」と呼ばれる現象があるという研究成果を発表しています。だからこそ、パッケージは投資する価値があるものなのです。
大手企業ではパッケージデザインは重要視されているのにも関わらず、中小規模の企業ではそこまでの投資ができていないのが現状と思います。
橋本:パッケージに力を入れて、成果の出やすい商品というのはありますか。
パッケージ投資の効果が特に期待できるのは、価格の多様性がある商材です。
茶葉もそうですが、産地や製造方法によって価格の幅が受容されている商材は、共感できるストーリーがあり付加価値を感じられるものであれば、提案を受け入れてもらえる可能性が高い。