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コラム

ビデオコミュニケーションの21世紀〜テレビとネットは交錯せよ!〜

ネット動画で大事なのは、クオリティであり、思いであり、現実へのコミットメントである。

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自分たちが伝えたい思いを大事に

とはいえ、クオリティのことをあまり言い過ぎると、じゃあ巨額の予算で著名な人に頼まないとダメなんだ〜と萎えちゃいそうですね。でもここで私が取り上げたいのは、逆です。ネットで動画を使う場合、はっきりとした意志と戦略があればいいのだ、コツコツ作りつづけることこそ大事なのだ。そういう事例のお話をしたいのです。

例えば、コクヨチャンネルというサイトがあります。その名の通り、事務用品メーカーのコクヨさんの動画サイトです。ざっとでいいので、一度ひとわたり見てください。

コクヨのさまざまな製品を、捜査官めいた男が調査する「コクヨG-MEN」。ケンキというベテランの芸人さんがレギュラー出演しています。全国の文具店をご当地リポーターが紹介する「あの街この街コクヨのある街」なんて、地上波によくあるミニ番組みたいです。意外に「コクヨ取説の部屋」ではクールに淡々と商品の使い方を説明していて妙に魅力があります。

コクヨチャンネルを担当しているのは、広報コミュニケーション部・佐藤詠美さんです。コクヨではグループのコミュニケーション機能を広報コミュニケーション部が担っており、コクヨチャンネルはお客さまとのコミュニケーションを深化させるツールの一つという位置づけで運営されています。

「コクヨにはマスコミに取り上げられないけどいいところがたくさんあるはず。それを、リリースをまくだけでなく積極的に広報していく手段として動画はイケる!と2012年7月にスタートさせました。」と、佐藤さんは立ち上げた動機を語ってくれました。試行錯誤をするうち、いまのやり方と体制にたどり着いたのです。「企業イメージを支えるものだからこそ、いい動画を作りたい。制作してもらうスタッフも大事です」と考えて、制作会社の選定にはこだわっているそうです。テレビ番組も含めた豊富な制作実績を持つ会社はクオリティ面でも頼もしいといいます。

佐藤さんは、セミナーなどでネット動画専門の会社の人ともよく一緒になるそうです。「最初から5秒とか7秒までしか見ないから、言いたいことはそこまでに済ませましょうと彼らは言うのですけど、工夫次第でもっと長いものでも見ていただけるのではないかと疑問に感じました。完視聴率(最後まで見てくれた人の割合)は10%が標準だと言われて調べたら、うちの動画の数字はそれを大幅に上回っていました。ちょっとうれしかったですね」ネット動画の一般論に振り回されず、自分たちが伝えたい思いを大事にしてきた自信が感じられました。

次ページ 「ネット動画が流通対策になる」へ続く