コラム

ビデオコミュニケーションの21世紀〜テレビとネットは交錯せよ!〜

ネット動画で大事なのは、クオリティであり、思いであり、現実へのコミットメントである。

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前回のコラム「テレビがテレビの枠を超えはじめた。そこでは、新しい視聴計測が必要になる。」はこちら

ネット動画はチープでもいいのでしょうか?

最近、「ネット動画」の領域はホットなようです。AdverTimesの記事でも増えていますよね。これを読んでいる皆さんの周辺でも、ネット動画を作りたい企業の方や依頼された広告業界の方、いらっしゃるんじゃないでしょうか。

でも聞こえてくる話のなかには、“嘆き”も多いです。

「100万円でバズる動画を作ってくれ」「再生回数10万回がKPIだ」「とにかくバイラルさせたい」

そんなことばかり言われて頭を抱えているという話を聞くのです。一方、そういう声に対応しようという引き受け手も出てきているようです。「20万円で動画作れます!」などと標榜する会社もたくさんありますね。

「ネットなら安いんでしょ」「はい、安くて効果もあります」

そんな安直な期待と、安易な対応が増殖していきそうで心配です。ネット動画の標準単価や品質水準が、そういう流れで決まってしまったらイヤだなあと思います。安さを標榜する会社の制作事例を見ると驚きます。これを20万円で作れたことが自慢?こんな面白くない映像を作って楽しいの?

まあ、これまでは“ネット動画はチープでもいい”的なところは多分にあったかもしれません。でも今後はそうはいかなくなる。なぜならば、前回書いたようにこれからはテレビ番組がどんどんネットで視聴できるようになるからです。テレビ番組の映像は一見くだらないバラエティでも、画質にしても構成にしても手間とお金がそれなりにかかっています。なんだかんだいって、クオリティは感じられる。さらにいまや、先行する企業のネット動画のクオリティの水準はひところよりずっと高くなっています。だから安っぽさを武器にするには、強い企画性やキャラクター性がないと、比べられてダメダメな映像になりかねません。

話は飛びますが、先日huluを見ていたら「タイムスリップ堀部安兵衛」が入っていたので思わず視聴しました。ラインアップに並ぶテレビ番組や映画に引けをとらないクオリティと面白そうな匂いを漂わせていたからです。ご存知の通り、この動画は三井不動産のブランデッドエンタテイメントとしてWeb上に置かれています。私はAppleTV経由でhuluを視聴できるのでテレビ受像機で「堀部安兵衛」を楽しむことができました。大画面のテレビでも、いやテレビでこそ楽しみたくなる品質。

「タイムスリップ堀部安兵衛」をもとにクオリティの話をするのは極端かもしれませんが、ネット動画なら安いというとらえ方は止めましょう。むしろネット動画だから媒体コストより制作費にかけましょう、そういう発想でいってほしいです。テレビCMに使う数億円は出ないけど、数千万円なら確保できる。だったらネット動画もありかもしれない。そういう考え方は前向きです。全体予算の1割が制作費ね、などと決めつける必要もないですし。いいものを作るための予算を決めたあとで、どんな経路で見てもらうのかを考えて全体の予算設計をすればいい。

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