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「就職」と「就社」の違いが見落とされ、学生と企業のミスマッチが起きる——「ジブンと社会をつなぐ教室」山田ズーニー氏特別インタビュー(後篇)

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20数年分の経験があなた自身をつくりあげている

小島:「自分を表現すること」を僕らも目指しているんですが、日本はそういう教育があまりうまくいっていないんじゃないかという印象があります。ズーニーさんは10年以上にわたって表現の教室をされてきて、どんなふうに感じていますか?

ズーニー:大人になるまでに「自己を表現してこなかった」人が、すごく多いですね。だから就活で戸惑い、入社してさらに戸惑ってしまう。 でも、表現してこなかっただけで、20数年分のインプットはあるんです。自分なりに社会を体験する中で、言葉にできない実感をたくさん蓄積しています。
私が行っている大学での授業や就活セミナーでは、そこを引き出して、整理を助けています。書く前段階の「考える」ことを丁寧に積み重ねていくと、その人の正直な思いから一歩も譲らない、それでいて社会に対して通用し、貢献できる感じがすごく伝わる文章が書けるようになります。

吉田:ズーニーさんが表現の教育を始められたころと今では、若い人のコミュニケーション環境もずいぶん異なっていますが、なにか違いを感じられることはありますか?

ズーニー:私が表現の教育を始めた14年前は、自己表現にすごく苦手意識を持たれていました。それと比べると、今は皆すごく積極的ですね。

吉田:そうなんですね。それはなぜなんでしょうか?

ズーニー:多分、電子メールが登場してテンプレート化された文章が世の中にあふれた時代に育ったから、まとまっているけど心に響かない文章にもう嫌気がさしているんでしょう。失敗してもいいから、自分の言葉で話したいし、友達からもそういう言葉を聞きたいという意志を感じます。

小島:そういう学生さんが、ぜひそのまま伸びていって、社会で活躍してもらえたらと思いますね。

ズーニー:そうですね。自己表現ってそんなに難しく考える必要はなくて、今日思ったことを自分の言葉で人に伝えるだけでいいんです。毎日1ミリの勇気を出して伝え続けている人が、ここいちばんの就活のハードルを越えて、社会に出たときにも人の心に届く仕事ができるようになると思います。

※本対談記事は「ウェブ電通報」でも掲載。


山田ズーニー
文章表現・コミュニケーションインストラクター。Benesse小論文編集長を経て独立。フリーランスで大学や企業で文章表現力・コミュニケーション力・自己表現の教育を展開。慶應大学非常勤講師。著書『伝わる・揺さぶる!文章を書く』『あなたの話はなぜ「通じない」のか』など。ほぼ日刊イトイ新聞にて 「おとなの小論文教室。」連載中。


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