「オムニチャネル」とは、オン/オフあらゆる顧客接点を統合すること

株式会社宣伝会議は、月刊『宣伝会議』60周年を記念し、11月29日にマーケティングに特化した専門誌『100万社のマーケティング』を刊行しました。「デジタル時代の企業と消費者、そして社会の新しい関係づくりを考える」をコンセプトに、理論とケースの2つの柱で企業の規模に関わらず、取り入れられるマーケティング実践の方法論を紹介していく専門誌です。創刊号の記事の一部を、「アドタイ」でも紹介していきます。
詳しくは、本誌をご覧ください。

金 雲鎬(日本大学商学部 准教授)

「オムニチャネル」とは、一般的に実店舗やオンラインストア、通販サイト、自社サイト、カタログ通販、ダイレクトメール、ソーシャルメディアといったあらゆる顧客接点を統合すること、またそうした統合販売チャネルの構築によってどのチャネルからも同じように商品を購入できる環境を実現することと定義される。

2013年にセブン&アイ・ホールディングスが本格実施を発表してから一段と関心が高まっているオムニチャネルだが、「分かりづらくて使いにくい」との声も多い。実務における活用のためには、少なくとも以下の疑問に答える必要があると思われる。

  1. マルチチャネルやクロスチャネルとの違いは何か
  2. ビッグデータとの関連性は何か
  3. オムニチャネルに異質性はないのか
  4. (ネット販売やCRMなど)対消費者戦略以外に使い道はあるのか
  5. 阻害要因、成功条件は何か

本稿では、こうした疑問に答えながら、オムニチャネルの基本的な考え方と、実務への落とし込み方について解説していく。

オムニチャネル誕生の背景

マルチチャネルが「顧客層拡大のためにチャネルを増やす」発想であるのに対して、複数チャネルを活用して「同一顧客に対して接触機会を増やす」のがクロスチャネルの考え方である。

NRF(全米小売協会)によると、この段階ではチャネル間で顧客情報の共有ができていない。オムニチャネルは、クロスチャネル発想を次の2つの視点から発展的に受け継ごうとする考え方である。

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