——統合ソリューションセンター(ISC)チーフ・ディレクターとして、具体的にどのような仕事に取り組んでいくのか。
私がしたいことは、ADKという会社を欧米化することではない。日本企業の海外進出をクリエイティブの面からサポートすることが目的だ。ADKが培ってきた日本のマーケットや日本企業に対する知見をベースにしつつ、海外市場の中でも、特に日本のクライアントの関心が高いアジア市場の進出をサポートしていきたいと考えている。
また、その際に日本企業ブランドを欧米化しようとも思っていない。日本企業のモノづくりの技術はこれまでも世界を牽引してきたし、ディテールにまでこだわりぬく繊細な感性は、日本ならではの魅力だと思う。日本企業らしさ、日本のブランドらしさをそのままに、より海外でその魅力を伝えるための手助けができればと考えている。
——ADKという会社について、どのような印象を持っているか。
ADKは日本の広告市場において、チャレンジャーであり続けていると思う。チャレンジャーだからこそ、社員一人ひとりが機敏に動く社風があるし、なにより私のような外国人をクリエイティブのトップに据える決断ができるのも、挑戦を好む風土があってのことだ。
社内に優秀なクリエイターも多いと感じているし、新しい挑戦の機動力はすでに社内にある。ADKはこれからも常に明日のことを考えるエージェンシーであり続けるべきだと考えているし、自分もそこに積極的にかかわっていきたい。
広告業界が1業種1社制ではないこと、テレビCMは15秒が基本になっていること、CMプランナーという欧米にはない職種の存在など、日本ならではのクリエイティブを取り巻く環境の特異性もある。私の役割は、ADKのクリエイティブ全体を欧米化させることではないが、私がこれまで経験してきた欧米エージェンシーの発想のメソッド、方法論で役立つことも多いと感じるので、人材教育にも関わっていきたいと考えている。
——これからのエージェンシー、クリエイターに求められることとは。
ADKでは「コンシューマー・アクティベーション・カンパニー」を標榜しているが、この方針が、また社内・社員も“活性化”させていると感じる。今、エージェンシーに期待されるのは売上やマーケットシェアの拡大など、具体的な「結果を出せるクリエイティブ」だ。そして、よいエージェンシーとはクライアントのために、新しいチャンスを切り拓き、クライアント自ら成長していける手伝いができるパートナーのことだ。「コンシューマー・アクティベーション」の旗印の下、各世界の拠点で、日本のクライアントが更なる飛躍を遂げるお手伝いがしていければと考えている。
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ロブ・シャーロック
米国のプロモーション会社だったDRAFT社と広告エージェンシーFCBの統合時に2つの会社をまとめあげ、成長させた手腕をかわれ、アジア・パシフィックのリージョナル・クリエイティブ・ディレクターから、シカゴのチーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)に就任。1300人規模の組織の指揮を執った。アジアおよびアメリカにおけるFCBでのキャリアは18年に及ぶ。ライフスタイルブランドBenaresの創設者・共同経営者であり、カンヌ、ワン・ショー、スパイクス、アドフェスト、クリスタル、カム・ファンなど、広告祭における受賞多数。審査委員長、審査員、プレゼンターも務めてきた。香港4Axクリエイティブ委員会およびシカゴ・クリエイティブ・サークルの委員長等も歴任。
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