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ヤングカンヌと攻略本 by TBWA\HAKUHODO 梅田哲矢

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【前回記事】「カンヌに出たいと思ったキッカケ」はこちら

2015年6月の「カンヌライオンズ」開催まで約4カ月。今年も28歳以下に限定した「ヤングライオンズ・コンペティション」、通称「ヤングカンヌ」が開催されます。PR部門では国内選考の受付がスタートしました(締切:3月18日)。
PR部門は昨年に新設され、日本代表チーム(梅田哲矢さん&岡田雄一郎さん)が見事ゴールドを獲得しました。そこで今年のエントリーを控えた今、2014年の覇者・梅田哲矢さんに2回シリーズでヤングカンヌPR部門にチャレンジする面白さを語り尽くしていただきます。

前回の記事では、出場した経緯を中心に書きましたが、今回は本戦で体験したこと、気をつけた方が良いことなどを中心にまとめました。今エントリーしている人や今後エントリーを考えている人にとって、少しでも役立てば嬉しいです。

ゲームには攻略法がある

オザワくん(前回記事参照)は、参考書が好きでしたが、
僕は、異常に攻略本が好きでした。

スーファミやプレステのゲームを効率よく進めるためのアレです。
本体のゲームよりも、攻略本が好きなぐらいでした。

攻略本の読み込みとゲームのやり込みを組み合わせると、尋常ではない最速クリア方法が見えてきます。いつもゲーム作者と戦っているような錯覚に陥って、悦に浸っていました。

そんな、元倒錯攻略本野郎は考えました。

ドラクエ6で、「しっぷうづき」をつかえば簡単にはぐれメタルが倒せたように、がんばれゴエモンきらきら道中で、XとYをうまいタイミングで押す事でエビス丸が輝き続けたように、ポケモンで、道具の13番目でセレクトを押しながらBを2回押して色々やるとミュウがゲットできたように、

ヤングカンヌにも攻略法があるのではないかと。

ヤングカンヌ本戦の攻略法

1、ひたすらThink Global

そのアイデアは世界中の誰もが、理解できるか。
この視点はめちゃくちゃ重要です。

理由(1)実施前の「企画書」だけで審査される

ヤング部門は、通常の部門審査と異なり、アイデアボードのみでの評価、つまり実施前の企画書だけで審査されます。

通常の部門審査では、実施後にまとめた超分かりやすいビデオをもとに審査するので、ある程度複雑なアイデアでもその面白さを説明することができます。

ヤングの場合、そうはいきません。ボード1枚+企画説明書ですべてを理解してもらう必要があります。

しかも審査員は、世界各国から集まっているので、世界中の誰が見ても理解できなければ意味がありません。

理由(2)審査員はヘトヘトの状態で審査する

超テクニカルな話ですが、ヤング部門の審査というのは、通常の部門審査が全て終了した翌日の早朝に行われます。

もちろんどの審査員もヤング部門への思い入れはハンパなく愛にあふれていましたが、そうはいっても彼らも人間です。

この状態でボードの一言一句を読み込み、積極的に理解してもらうことは期待できません。
眠気と疲労の中で、あらゆる国の方が理解できるボードに仕上がっている必要があります。

2、解決方法のストック量をたくさん用意しておく

ほとんどの課題は【スケールチェンジ×意外な方法】のかけ算でしかありません。
このストックをどれだけ持っているかが、24時間という短い時間で安定的にアイデアを出すことにつながります。

上記式をさらに因数分解すると、スケールチェンジは以下2つに分けられます。
・身近な問題であれば、あえてスケールを変えてみる。
・逆に普段関係しない問題であれば、自分事化させてみる。

これと意外な方法、例えば驚くべきシーンや、真逆のアプローチを組み合わせるわけです。

僕はカンヌに向かう前に、たとえば以下のような事例をたくさん用意しておきました。
いくつか例を挙げると・・・・・・

TOXIC TOURS/Greenpeace Mexico

環境問題という身近に感じづらい問題をひどすぎる旅行ツアーという意外な方法で、自分事化させた。

Days of Hope 2013/ Diakonie Frankfurt & Partner他

ホームレスという身近すぎる問題を天気予報士として彼らを登場させるという意外な方法で、あらためて問題を考えさせた。

DEMAND EQUAL PAY/YWCA(女性の社会参画推進)

女性差別という男性には意識しづらい問題を、様々なショップに男性割増料金を設定させるという意外な方法で、自分事化させた。

 

余談ですが、同年代のプランナーに話を聞いていると、このようなストックなしに、アイデアを出せてしまう人が結構います。
彼らは本当の天才なんだなと嫉妬と絶望に駆られます。
どれだけ嫉妬しようが僕は結局凡人だと開き直り、今日もRSSリーダーを眺めるのみです。

次ページ 「実際にどう役立ったのか」へ続く