番組コンテンツの真の価値を把握しにくい時代
テレビ放送開始から60年。
生活者やメディアを取り巻く環境はめまぐるしく変化してきました。
人口減少、一世帯あたりの人数の減少による世帯視聴率の低下。特に若年層の視聴率の低下は、ソーシャル視聴やタイムシフト視聴などの新しい視聴スタイルの台頭を示唆します。
視聴スタイルの変化に伴い、我々の広告ビジネスもまた大きく変わりつつあります。マルチスクリーン環境におかれた生活者のメディア接触実態に即した、テレビCMとPC・スマートフォンなどのオンライン動画広告をかけ合わせた商品・サービスの開発など、テレビだけに限らないさまざまな施策にチャレンジしています。
テレビ周辺だけでの変化を捉えても、さらなるデジタル化、ハイブリッドキャスト、タイムシフト視聴、4K・8K放送、キャッチアップサービスの本格化、Netflixの進出、AndroidTVなど、様々なデバイス、サービスが次から次へと世に送り出されています。
リアルタイムに家庭で家族とチャンネルを奪い合いながら視聴していた時代から、「時間」「場所」「画面」を超えて視聴形態は多様化し、テレビとテレビ番組コンテンツはこれまでの概念や指標では捉えられなくなりました。テレビ画面以外でテレビコンテンツを視聴するスタイルがスタンダードになってきているといえるでしょう。
この視聴スタイルの多様化は、居間でリアルタイムに視聴することを前提とする視聴データを軸としていては、もはや番組コンテンツの真の価値が把握しにくい時代であることを意味し、企業のテレビのコンテンツ価値や広告メディアとしての価値を維持するには、一つの考え方として新たな指標の検討や業界全体のルール再構築が必要であるともいえます。
また、インターネットを通じたテレビコンテンツ視聴も徐々に普及していく中、可能な限りインターネット動画市場との距離をバランスよく保ち、テレビ市場に近い投資価値を維持できるかも大きなポイントとなるでしょう。
無料ないしは固定料金での視聴は、生活者にとっては魅力的ではあります。しかし言うまでもなく、テレビ番組に限らずコンテンツはタダでは創れません。限定的な予算で最高のコンテンツを創ることは、プロである我々制作者サイドの使命です。
あくまで一般論としてですが予算はより大きいほうがアイデアや夢は確実に広がるし、より多様な領域のプロを巻き込める分、生活者により興味深いコンテンツを提供できる可能性が広がるという側面もあります。
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