新たな手法やテクノロジーなど、米国企業が取り入れ始めている最新のマーケティング実例を現地よりレポートする、月刊『宣伝会議』の連載「米国広告マーケティング事情」(執筆者:Coast to Coast Marketing Services代表・松本泰輔氏)。7月1日発売の8月号では、全世界で認知・理解が進む「LGBT」に、企業のマーケティングがいかに対応していくべきかをテーマにしています。
(『宣伝会議』8月号掲載記事を、一部改変して掲載します)
(『宣伝会議』8月号掲載記事を、一部改変して掲載します)
米連邦最高裁は6月26日、同性婚は合衆国憲法の下の権利であり、州は同性婚を認めなくてはならないとの判断を下した。これにより、州が定める同性婚を禁じる法律はすべて違憲となり、全米で同性婚が合法となる。判決に最高裁が同性婚そのものを容認したのは初めてで、米大統領選の大きな争点の一つであり、米社会を二分してきた論争は法的に決着した。これに先立つ5月22日には、アイルランドで同性婚の法令化をめぐり世界初の国民投票が行われ、翌23日の開票の結果、賛成多数により合法化が決まった。
LGBTの購買力は年間104兆円
このように、LGBT(Lesbian、Gay、Bisexual、Transgenderといった性的マイノリティの総称)への認知・理解は世界的に深まりつつある。こうした状況下、企業もマーケティング戦略を根本的に見直す必要に迫られている。リサーチ会社のWiteck Communicationsが2013年に行った調査によると、LGBTの購買力は年間8300億ドル(約104兆円)にのぼる。また「LGBTの70%が、LGBTコミュニティをサポートする企業の商品は、高くても購入する」「LGBTとその家族・友人の78%がLGBTフレンドリーなブランドにスイッチする」という調査結果も明らかになった。また2014年8月に行われた「Google Consumer Survey」によると、34歳以下の消費者の45%が「LGBTフレンドリーな企業と繰り返しビジネスを行う可能性が高い」と述べるなど、LGBTを意識したマーケティングは今後ますます重要になると推測されている。