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コラム

ビデオコミュニケーションの21世紀〜テレビとネットは交錯せよ!〜

「ソーシャルテレビ」は、テレビのマーケティング価値を再浮上させるキーワードかもしれない

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【前回記事】「Netflixについて広告業界が知っておくべき2、3の事柄」はこちら

明らかにテレビ視聴率の水準が落ちている

7月22日に「ソーシャルテレビ・アワード2015」が発表されました。日経BP社が毎年選出しているもので、今年で4回目。受賞したのは、次のような番組でした。

【大賞】『バーチャル高校野球』(朝日放送)
【日経デジタルマーケティング賞】『金曜ロードSHOW!』(日本テレビ)
【日経エンタテインメント!賞】『ごめんね青春!』(TBSテレビ)
【特別賞】『マジック新世紀セロ 生放送SP』(フジテレビ)
【広告賞】『NISSAN×リアル脱出ゲームTV 史上最難関の採用試験 THE TEST』(日産自動車×TBSテレビ)

勢ぞろいした受賞者の皆さん。『金曜ロードSHOW!』のスタンリー君も一緒です。

大賞の『バーチャル高校野球』は、去年夏の高校野球で、テレビの中継をネットでも同時に配信したものです。それだけでなく、投手目線や打者目線など、カメラを視聴者が選ぶことができたり、好きな場面を自分で編集してハイライト映像を作成できるなど、ネット配信ならではの新しい視聴スタイルを提供する画期的な企画でした。

それは確かにすごい!・・・でもソーシャルテレビアワードなのに、どこがソーシャルなの?そう感じた方もいるかもしれません。もちろん、ハイライト映像はツイートできるなど、随所にソーシャルメディア活用の要素も入っています。でもそもそも、ソーシャルテレビとは曖昧な概念なのです。

ソーシャルテレビとは「テレビ番組を見ながらTwitterを使うこと」が原点ですが、「テレビ番組のソーシャルメディア活用全般」とも言えますし、ネットがいまやソーシャル抜きに語れないことを思うと、「ネットと融合させたテレビの企画」とざっくりした定義もできます。いまはなんとなくこの、ざっくりした使われ方になってきているようです。筆者も「ソーシャルテレビ推進会議」という勉強会を運営してますが、そこで扱う題材は何でもありになっています。それくらいぼんやりした言葉。

でももう少しきちんと定義しようとすると、「視聴者とソーシャルな関係を結ぶためのテレビ番組の施策」ということかもしれません。ソーシャルテレビという言葉はひところほど使われなくなっているようですが、この定義に当てはまる番組は増えていると思いますし、その精神はテレビマンの間に広まりつつある気がします。ソーシャルテレビはすでに“ふつうのこと”になってきたようです。

ところで、この連載の6月の記事でテレビの危機を訴えたのは読んでもらえてますでしょうか。こんな記事でした。

テレビが危うい、「おばさん化」がはじまっている——ビデオにテレビが包含される時代へ

テレビの指標が世帯視聴率だけだとF3向けにどんどん偏るので他の層の視聴が減って、結果的には世帯視聴率が落ちるかもしれない。そんな内容でしたが、これは“近い将来”のつもりで書いたもの。それがどうやら、まさしくいま現在起こっているようなのです。この4月以降HUT(総世帯視聴率)が明らかに下がっているとか。その原因はまだ明らかになっていないようですが、私が推測するに「おばさん化」が「おじさんの離反」を引き起こしているのではないかと。つまりF3に注力するあまりM3がシラけているのではないかと思うのです。それはM3の一員である私がそう感じているからなのですが。

HUT急落の原因分析はまあ置いとくとしても、とにかく視聴率の低下は目を覆わんばかりです。ドラマの視聴率がわかりやすい。夏ドラマの中で、初回で10%を超えたものは数えるほどしかない。二回三回と進むともう、10%以上をキープできているものは『花咲舞が黙ってない』くらいです。久々に月9らしい企画だと評判だった『恋仲』は逆に月9史上最低のスタートでした。幅広い世代の女子に人気の福士蒼汰を主役に据えて9.8%では、もう何をどうしたらいいのかわからない状態でしょう。

明らかに視聴率の水準が落ちている。『27時間テレビ』ではないですが、テレビのピンチはチャンスに変えられないのでしょうか。

次ページ 「何百万人を一度に集められる装置は他にない」へ続く